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アオノツガザクラ    大雪山(旭岳)       2014.7.22撮影

アオノツガザクラ    大雪山(旭岳)       2014.7.22撮影

 ツガザクラとは、ツガの木のような葉をした桜のように美しい花、という意味。赤色のツガザクラが多いので、このような名がつけられたと思われます。

ツガ、またはコメツガという木は、四国や関西の高山にも見られ、徳島の剣山の頂上に近い地域でも見られます。高さは30mにも達する大木となることもあります。(クリスマスツリーに使うモミの木もこの近い仲間)

そのツガの葉とよくにていること、 そして花がアオい(薄緑色)(*)なのでこの名があります。

 

*)アオという言葉は、現在の青色だけでなく、緑色にも用いたので、草が青々と繁ると言ったり、植物名にも、庭木にも植えられるアオキは枝が緑色なのでその名があるのもその例です。

このアオノツガザクラは、日本の代表的な高山植物の一つと言われますが、一般の人とくに近畿、四国、九州などに住む者にとっては、近辺の山々に登っても目に触れる機会がなく、なじみのないものです。これは、高さは、1040cmと小さく、この写真のものも草のように見えますが、樹木の仲間で、ツツジ科の植物です。

そして、この植物が分布しているのは、本州の中部以北の高山や北海道、さらに千島、アリューシャン、アラスカといった厳しい過酷な気象条件のところです。

つぼみではなく、このように花びら(花冠)の先を小さくつぼめた形で、身近なアセビやネジキ、あるいはドウダンツツジのような壺形のツツジのなかまです。

  これは、真夏の大雪山の主峰旭岳の標高1700m付近での撮影で、7月下旬であったけれど、付近にはまだ残雪が一部残っていたような地域です。

樹木といっても、このように野草にまじって静かに咲くものもあれば、100mにも達する巨木もある、というように実にさまざまです。そして、この花は、あえて寒さの厳しい条件に育ち、樹木とは思えないような小さい姿に可憐な花を咲かせる神の創造の驚くべき多様性をここにも感じます。

 

高山の厳しい状況には、低山にない気品ある花々も多く、人間も厳しい状況のもと、神の導きによって生きてきた人たちは、自分中心に生きてきた人とは異なる雰囲気があるのを思いだします。

他方、路傍の雑草といわれるような野草であっても、その小さな花をルーペで見るときには驚くべき繊細な美を持っているものもしばしばあり、神の御手による自然のなかには、見る目を持ってみるときには、その背後に神の深いお心を感じ取ることができます。 主イエスが「野の花を見よ」(マタイ福音書628)といわれたのもそうした意味があると思われます。                   (文・写真ともT.YOSHIMURA

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