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アサツキ(浅葱) 北海道南西海岸の岩場にて 2012.7.12撮影

小樽から、北海道の南西海岸を南に、車で100キロほども走っただろうか。この花の咲いていたのは、絶壁を伴う岩場があり、日本海の荒波が打ち寄せるところでした。ふつうは人が行かないやや危険な場所に咲いていたのがこの花です。咲いていた場所は、冬季には、激しい風雪が吹きつけ、塩分を含んだ海水がたたきつけるようにしぶきがかかるところであり、植物が生きていくにはとても厳しい環境です。それゆえに、薄い紅紫の美しい花をつけているのを初めて見いだしたときには驚きをもって見たものです。

これは、食用のネギの仲間だといえば、うなづかれる方もおられると思います。食用ねぎの仲間なのに、こんな荒波のしぶきが打ち寄せる岩場に生きているのです。

野菜は人間に特別に保護されないと生育できない弱さを持っていますが、このアサツキは最もそのような保護とは縁のないところに咲いています。ネギの仲間には、ヤマラッキョウも美しい花を咲かせます。ずっと以前、徳島県のかなり深い山中で、ヤマラッキョウに出会ったとき、そのいろいろな草や灌木が生い茂るところだったので、そのような環境にはなじまないような美しさがあって、何十年も経た現在も印象に残っています。

 アサツキ(浅葱)    北海道南西海岸の岩場にて  2012.7.12撮影

このアサツキという花は、厳しい環境に生き抜いて花を咲かせており、荒波を受け続ける岩の荒々しさとの対象が印象的です。

このような植物の姿は、人生の荒波や厳しさにもかかわらず、あるいはだからこそいっそう清められ、霊的な花を咲かせる一部の人たちのことを思い起こさせ、神の御手がはたらき、守るときには、通常では耐えがたい環境にあっても、なお霊的に育っていくことを感じさせられます。(写真、文ともT.YOSHIMURA

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