戻るボタン次へ進むボタン モミジカラマツ キンポウゲ科
月山にて 2010.7.30
モミジカラマツ    キンポウゲ科     月山にて   2010.7.30
この野草の名前は、モミジカラマツといいます。高さは20~50cm、北海道と、本州の中部から北の高い山にみられるものです。これは、山形県では北寄りにある、標高1984mの月山での撮影です。中央部と右後方の白い部分は、雪渓です。この写真は、7月30日に撮影したものですが、このように、頂上に近いのでなお雪渓が残っているのです。カラマツソウの仲間にはいくつかありますが、これは、写真でもわかるように、葉が大きなモミジのように分かれているからです。この撮影場所よりも下の地域で黄色のニッコウキスゲが多く見られ、そこにも一部この花が混在していたのです。雪と野草の花が同居しているといった光景は、関西の山ではまず見られないものです。8月になってもなお残るということは、相当な積雪があることがわかります。その厳しい寒さと重い雪にも耐えてこの植物たちは芽を出し、短い夏に花を咲かせるのです。
雪が消えていくころに咲くこの純白の花は、あたかも雪の清い白色をそのまま譲り受けたかのような感があります。
太古の昔から、こうした厳しい状況にあって花を咲かせ続けてきたこの野草は、繊細な美しさと強靱さを併せ持っており、神の御手によるゆえに途絶えることなく続いてきたのだと思わせるのです。
人間のよごれに染むことなく、清い大気のなか、透明な風を受け、厳しい寒さに耐えて咲く白い花々は、あたかも天上の清いコーラスを奏でているかの雰囲気があります。(写真、文ともT.YOSHIMURA)
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