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ザクロ     徳島県小松島市 日峰山(わが家の植栽)      2009.6.28

ザクロ

 ザクロは、花を鑑賞するために、そして紀元前から、果樹としても栽培されてきたもので、この鮮やかな緋色の花と、濃い緑の葉の対照が印象的です。つぼみもはち切れそうな豊かさをたたえています。もともと、この植物の原産地は、地中海東岸からトルコ、イランやアフガニスタン地方です。今日では長く続く混乱や戦争で人々が苦しんでいるところが多いのですが、この花は、そうした人間世界の混乱と闇にしずかに語りかけるように、今もその地方で咲いていると思われます。

 ザクロは、乾燥に強く、聖書の地方でも重要な植物として栽培されていたために、旧約聖書でも20回ほど出てきます。下のはその一例です。

 

あなたの神、主の戒めを守り、主の道を歩み、彼を畏れなさい。主はあなたを良い土地に導き入れようとしておられる。それは、平野にも山にも川が流れ、泉が湧き、地下水が溢れる土地、小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろが実る土地、オリーブの木と蜜のある土地である。(申命記8:6-8

 このように、神のみ言葉に従うときに与えられる祝福の満ちた地に育つ穀物、果樹の一つとしてあげられています。そのほかソロモンの神殿の柱頭に浮き彫りにされたり、祭司の服にも飾りとなり、「ベールを透かして輝いているあなたのこめかみは、ざくろの実」(雅歌4:3)などのように、多様な意味に用いられています。それほど注目された果樹であったということなのです。

? 現代の日本では、ザクロの特徴ある実を直接に食べたことのある人は少ないと思います。果実の仕組みも独特で、入り組んだ部屋のようなところに小さな実(種)がいっぱいに詰まっていて、私はこどもの時から、興味深く食べたものです。

このザクロは、小さな赤いみずみずしい実(種)がたくさん入っていることから、古代より豊かさと命の象徴として用いられてきました。そして、画家のボッティチェリなどは、マリアに抱かれた幼児イエスが、大きなザクロの実を手に持っている絵(「ザクロの聖母」と言われる)を描いています。 これは、ザクロの赤い実はキリストが流した血によって輝くエクレシア(キリスト者の集まり)を象徴するものであり、さらに、たくさんの実(種)がなかに入っているように、豊かな命、キリストによる永遠の命をもあらわしていると言われています。(「聖書象徴事典」174p 人文書院刊他)

 現代の私たちは、多くの実、真理に向かってザクロのような赤く燃える心の実をつけるため、また永遠の命を受けるために、「私に留まっていなさい。そうすれば豊かに実を結ぶ」と言われた主イエスの言葉に従うようにと、求められています。 (写真、文ともにT.YOSHIMURA

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