ミヤマリンドウ(深山竜胆)     北海道 大雪山(旭岳)標高 2291m    2014.7.22 撮影
 ミヤマリンドウ(深山竜胆) 北海道 大雪山(旭岳)標高2291m 2014.7.22 撮影  

       秋の野草の花といえば、まずリンドウが私には思いだされます。

その深い青紫色は多くの人の心にも射し込み、そこに余韻を残す色調だと思われるのです。

山中で思いがけず見いだしたときには、それは天の青を落としたような色、御国の雰囲気をあらわすような色調として感じたものです。これは私たちを、みもとへと呼ぶ天来のメッセージをたたえたものです。

私が大学2年の秋に、京都洛北の鞍馬山から登りはじめ、そこから広大な、京都北山、丹波高原の山々を北へ北へと地図と磁石を頼りに、一週間近くをかけてついに由良川源流地域に達し、そこから福井県の小浜市にまで行ったことがあります。それはすべてテントを使っての山中の野宿で、山岳地図ではすでに廃道とされている道もあり、ときには道に迷い、かなり困難な山歩きでした。 その源流地域の全くといってよいほど人が入らない地域で見たリンドウは、それまでの長い山行の後だけに今なお忘れられない印象を残しています。

このミヤマリンドウは、北海道の大雪山系の最高峰である旭岳を望む草原で咲いていたものです。 リンドウの種類は、20種類ほどもあり、春に咲くハルリンドウやフデリンドウもありますが、ほかの多くのリンドウは高山では夏、低山や平地に近いところでは秋に咲くものです。  左下に添えた写真はどのようなところで咲いていたかを示すためのものです。    (文・写真ともT.YOSHIMURA

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