休憩室  2000/7

ユリ
 初夏から咲き始める花、その代表的なものはユリです。純白のユリ(テッポウユリ)を好まない人はまずいないと思われます。白いユリは古くから特別に愛好され、栽培されてきました。世界で最も古くから数千年前から栽培されてきたのは、マドンナリリーという名のユリで、白いユリです。
 これは、ルネサンスの画家、ボッティチェルリの受胎告知にも取り入れられています。マリアがみごもったとき、天使が現れ、胎内の子は、聖霊によってみごもったということを知らせたのですが、その天使が手に持っているのがこのマドンナリリーです。
 他にもフラ・アンジェリコ、ティツィアーノ、ムリリョ、コレッジオなど多くの画家がこの白いマドンナリリーを描いています。
 このユリは、しかし、日本のテッポウユリが十九世紀後半からヨーロッパに入ってからは、次第にそのテッポウユリに代わっていきました。このユリの方がより気品があり、姿もよいからだと思われます。日本の南部、奄美大島や沖縄諸島などが自生地であって、そこから世界に広がったのです。現在では、ヨーロッパにおいても、その純白さや高雅な姿が愛されて、結婚や、葬儀、あるいはクリスマスのときなどさまざまに用いられています。またキリストの復活のシンボルとしても使われています。
 そのためにこのユリの英語名はイースターリリー(「復活節のユリ」の意)なのです。全世界広いにもかかわらず、小さく目立たない琉球列島付近に自生しているものが、全世界の人々にキリストの復活を思い起こすに最もふさわしい花として用いられるようになったのは不思議なことです。
 なお、ユリのことを百合と書くのはその球根が多くの鱗片(りんぺん)が合わさっているからです。

 ニュージーランドのある植物学者の書いた本のなかに、ユリに関する文があったので引用します。

 ユリにそなわった威厳ある優雅さと美しさは、この花をほかのどんな花からも際立たせている。はるか古代から庭に植えられた花の中でも、この花はもっとも深く愛されたものの一つである。そして花とか庭とかにたいしてほとんど、あるいは全く関心のない人々の多くが、ユリに対しては深く限りない愛着をもっている。夏の夕暮れの涼しい空気を心地よく包む、香り高いユリたちは、庭の最高の喜びの一つである。 
 ユリの仲間は静かな、心ひく力を持っているために、植物学者の心を動かし続け、さまざまの名を付けていった。それは、考えつくもっとも賛嘆に満ちた名を与えてきたのである。・中ヲ(「花々との出会い」A・アンダーソン著 八坂書房刊)
 
 この文はユリへの深い愛情を感じるものです。
 聖書でユリといえば、旧約聖書では、例えば詩編45編のタイトルに、つぎのように記されています。
指揮者によって。「ユリ」に合わせて。
 これも、讃美に関する用語がユリの美しさに関係づけられています。
また、雅歌には「わたしはシャロンのバラ、谷間のユリ。」(雅歌二・1)などのようにユリが多く現れます。
 このユリという原語(ヘブル語)は、ショーシャーンまたは、シューシャンといって、ここから、スザンナという女性名も生まれています。ユリやアイリスなどユリに似た花の一部も含む名前であったと考えられています。
 しかし、最も有名な、そして大きな影響を及ぼしたユリに関する文はつぎのものでした。

 また、なにゆえ衣のことを思ひわずらうや。
 野の百合はいかにして育つかを思へ。労せず、紡がざるなり。
 されど我なんじに告ぐ、栄華を極めたるソロモンだに、その装いこの花の一つにも及(し)かざりき。(文語訳 マタイ福音書六・28〜29)

 これは、現代語の口語訳、新共同訳聖書ではユリと訳された原語(クリノン krinon)が、いくつかの種類の野の花をも指す言葉であることから、「野の花」と訳されているために、最近聖書を読み始めた人は気付かないのですが、中世の標準の聖書であったラテン語訳や、英語聖書で最もよく用いられてきたジェームズ王訳で、ユリと訳されて以来、ずっと主イエスの言葉はユリとして親しまれてきました。世界の重要な現代語訳聖書でも、ユリ(lily)と訳しているのも多くあります。(*)
 主イエスが詩人でもあって、みんながただ美しいとしか思わない花に関しても、重要な教えをそこから生み出されたし、それは二千年の歳月を越えて、つよい印象を世界の人々に与えてきたのです。

(*)例えば、英語訳聖書の代表的聖書の一つである、改訂英語聖書(Revised English Bible)、新改訂標準訳(NRSV)、エルサレム聖書(JERUSALEM BIBLE)、新国際訳(NIV)などです。なお、現代ドイツ語訳の一つ(DIE BIBLE・Einheitsubersetzung )や、現代フランス語訳聖書(TRUDUCTION OECUMENIQUE)などもやはり、ユリ(それぞれ Lilie、lis)という訳語を用いています。

徳島聖書キリスト集会集会案内

・場所は、徳島市バス中吉野町4丁目下車徒歩四分。
(一)主日(日曜日)礼拝 毎日曜午前十時三十分から。
(二)夕拝 毎火曜夜七時三十分から(旧約聖書を学んでいます)
・なお、毎月最後の火曜日の夕拝は移動夕拝で場所が変わります。
☆その他、土曜日の午後二時からの手話と聖書の会、日曜学校(日曜日の午前九時半から)が集会場にて。
また家庭集会は、海部郡海南町、板野郡北島町、徳島市国府町(「いのちのさと」作業所)、板野郡藍住町、徳島市住吉、鳴門市などで行われています。
また祈祷会が月二回あります。問い合わせは下記へ。
・代表者(吉村)宅電話(FAX) 08853-2-3017

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