リストボタン休憩室   2004/5


春の野草たちの花が咲き終わり、緑の若葉がいっせいに大きくなっています。周囲は緑一色となり、「天路歴程」に現れる、命の木の葉を思い出します。それは、本文で紹介したように、私たちの傷をいやそうとしてどこからともなく、差し出されたものだと書いています。緑だけでなく、青空や白い雲、風の音、そして谷川の水音などいずれも、神が私たちの心の傷をいやすために神から差し出されたもののようです。
ウツギ(卯の花)
五月に山の多い地方を車で移動していると時折目にとまるのは、ウツギの仲間です。ウツギには、ガクウツギ、マルバウツギ、バイカウツギ(梅花空木)など、いろいろあります。
そのなかで、ウツギは純白の花が、半開きのように咲き、新緑の中にあって目をひくものです。
これは有名な「夏は来ぬ」という歌によってひろく知られています。それは曲がだれの心にも自然に入ってくる親しみやすいよい曲であるとともに、その歌詞が、後に古典文学の権威となった佐佐木信綱による五七五七七の短歌であり、それに「夏は来ぬ」をつけたものであること、その歌詞の内容が初夏のおとずれを印象深く表していることにあります。
最近は静かな自然の清さや美しさを歌ったこのような歌が若い人の心になくなっているようです。このような自然のかおりがたたえられた歌が今後とも人々の心に流れていくようにと願われます。

一)卯の花の 匂う垣根に
ほととぎす 早も来鳴きて
忍び音もらす 夏は来ぬ(*

二)さみだれの そそぐ山田に
早乙女が 裳裾ぬらして
玉苗植うる 夏は来ぬ

三)橘のかおる軒端の
窓近く 蛍飛び交い
おこたり諫むる 夏は来ぬ

四)楝散る 川辺の宿の
門遠く 水鶏声して
夕月すずしき 夏は来ぬ(**

五)五月闇 ほたる飛び交い
水鶏鳴き 卯の花咲きて
早苗植えわたす 夏は来ぬ

*)「卯の花の 匂う」とありますが、ウツギには匂いはなく、これは古語として用いてあり、ウツギの花の「あざやかな白い色が美しく映える。美しく目立つ。」といった意味。

**楝(おうち)とは、センダンのことで、初夏にうす紫色の美しい花を咲かせる。


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