動かないもの    2007/2

風が吹いている。大きな竹の木々がさらさらと音を立てて動く。周囲の樹木も揺れる。強い風の日、山にあって一面の木々のうごきのなかにいた。
見えるものがみな揺れ動くなかにあって、動かないものがこの世界の中心にあることが示された。
人間や社会、そして時代のさまざまの出来事、それらはすべて揺れ動き、変質していく。
しかし、いかなる風が吹いても、強力な風が吹いてもまったく動じないものがこの世界にある。
風のなかにあってかえってそのことを強く感じた。
私たちもこの世の揺れ動く状況のただなかにあるからこそ、動かないものを感じ取るように、招かれている。
詩編には、しばしば神のことを、岩と呼んでいる。その心に触れたような気がした。

主はわが岩、砦、逃れ場
わが神、大岩、避けどころ(詩編十八・3より)


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