リストボタン「祈の友」の詩の中から    2007/6
(一)
アネモネの花よ わが信仰の弱さを あわれんで祈ってほしい

イエス様が だまって この花を指しているように思える

ガリラヤの野辺に咲いているというだけでも 楽しいアネモネの花よ

花かげにほほえむ友の眼は澄み みずいろの香りが漂うている

争うまい 黙って歩く 賢治や重吉に続く道か この道 仲 綽彦(*)(大阪)
(「曠野の詩 祈の友同人信仰詩集」二〇二頁 一九五四年 静岡 三一書店刊)

・これらの自由詩(自由律短歌)の中に、作者のアネモネの花への信仰的な愛が込められている。私はかつてイスラエルを訪問したとき、エリヤと関係深いカルメル山の頂上付近の草むらにアネモネがあちこちに自生しているのを見たことが、今も眼に浮かぶ。
四番目の短歌、信仰によって深い清めをたたえた眼、そこからは周囲にもその清い水色が静かに流れていくという。 主イエスの眼はまさにそのようであっただろう。 夜空の星もそうした澄んだ眼であり続けている。

*) 仲 綽彦は、若き日に結核に苦しんだが、癒されて終生結核の人たちの友たらんとして、聖燈社を建てた。この小さな出版社から、榎本保郎の「ちいろば」が出されて、多くの人たちに読まれるようになり、三浦 綾子もこの本に心動かされ、後に榎本保郎の伝記小説「ちいろば先生物語」を書いた。

(二)
迫り来し いのちの暮れや わが魂の 星は久遠のかがやきを増す

み癒しを切に祈れば「わが恵み汝に足れり」と静かなる声
川添繁郎(熊本)
(「真珠の歌」祈りの友同人信仰短歌集二二頁 一九五一年 三一書店)

・若くして召されていった多くの結核の病者たち、しかし、そのような苦しみや悲しみにあって、この作者は、輝きを増すものを深く感じていた。それは自らの魂の内に住まうキリストの輝きであった。その内なるキリストが、若くして朽ちようとする命を支え、作者はその輝きを見つめて静かなる喜びを感じたのであっただろう。


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