リストボタン休憩室    2009/1

宵の明星
去年の十月下旬ころから、夕方の西空に輝き始めていた金星は、その後も強い輝きを増しつつ十一月下旬には、木星と上下に並び、さらに三日月もすぐ側に並んで輝くという、今後相当長い間は起こらないと思われる珍しい現象が見られました。
金星は、宵の明星としてまだ二月中は夕方に見られます。そして五月中旬になれば、午前四時過ぎには明けの明星としてその強い輝きが見えるようになります。
 木星と金星が次に接近して見えるのは、二〇一二年三月一四日、さらにその次は二〇一五年六月三十日にこの二つの明るい星が近づいて見えます。そのうち、後者の時には木星と金星は重なり合うほどになります。それ以後は二〇一九年にも、この二つは近づきますが、いずれの場合も、月は見えないか遠くにあって今回のような三つの天体がすぐ近くに見えるということはないのです。
聖書にはキリストが明けの明星として記され、ダンテ神曲にも、地獄篇、煉獄篇、天国篇のそれぞれの歌の、原文のイタリア語では、最後の言葉がいずれも星(ステレ stelle)(*)という言葉で終わっているということなど、星はいろいろな箇所に現れます。
*)単数は stella。なお、語源的には、英語のstar ドイツ語のシュテルン Stern 、ギリシャ語のアステール aster、アストロン astron などと関連している。
これも、ダンテが特別に星に強い関心があったことを示していること、地獄にても煉獄にても、また天国にても、私たちが見つめることができるもの、また見つめるべき究極的なものは星に象徴されているキリストであると言おうとしているのがわかります。


クヌギの落葉
落葉樹であっても、冬になってようやく葉を落とす樹木があります。それは、クヌギやコナラ、クリなどです。ほかの多くの落葉樹は冬になるころまでに葉が色づき、落ちていきます。しかし、クヌギは十二月になってもほとんど葉が残り、後半になってようやくいっせいに落ち始めます。毎日ひとつふたつと褐色に色づいた葉がひらひらと落ちていき、わが家に至る道は、この頃クヌギの葉で敷きつめられた味わい深い道になります。一本のかなり大きいクヌギの木があるからです。
それでも、まだコナラは葉を落とさず、クヌギが葉をほとんど落としてしまうころ、一月が近づくころに落ち始めます。このように、同じブナ科の樹木であっても、異なる落ち方で、一つ一つの樹木のあらゆる点において、それぞれの個性があるのを感じるし、落ちていく葉の一つ一つの落ち方、また道に落ちた葉のひとつひとつがまた姿や形が異なるもので、それぞれに神のお心が込められたなにかを感じさせられるのです。


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