詩の中から

限りなき 主の御恵みをさし示す 窓からのぞく 柿の若葉よ(水野源三)

・作者の澄んだ心と目には、ごく普通の柿の若葉さえも、無限の神の恵みを感じ取ることができた。樹木の若葉、それは春ともなれば至る所に見られるもので、そこに深い神の愛を感じるという人はごく少ないであろう。寝たきりの生活を余儀なくされた著者であるが、このようなどこにでも見られるもののなかに、最高のもの、すなわち神の恵みを感じ取ったのであった。
心の目さえ開いているなら、ごく身近なふつうのもののなかにも真理の泉が湧き出ているのを実感することを示す短歌である。
主イエスも「野の花を見よ」といわれ、どこにでもある野生の花のなかに深い真理を読み取っておられたのがうかがわれる。

まだ暗き 長病む部屋に 聞こえくる ひばりの声に 神の愛知る

・著者は、寝たきりであったために、長く自分の部屋でしか自然に触れることができない。ひばりのさえずりはそうした室内に閉じ込められた同様の者の耳にも新鮮に響いてくる。そしてそこにも神の愛を実感したのであった。 ひばりがいる地方では、ごくふつうの日常的なさえずりであり、せいぜいまた鳴いているな、と思う程度であろうが、水野源三にとっては、かけがえのない神の愛をたたえたものとして受け取ることができたのである。
神の愛は、人からだけでなく、こうした草花や若葉、また身近な小鳥のさえずりからも感得できるものなのである。


ブライアントの詩から

自然を愛し、
その現れる姿とまじわる人に、
自然はさまざまの言葉を語る。
楽しきときには、
自然は喜びの声でにこやかに
美しい雄弁をふるう. そして暗い思いのときには、
しずかにその心の奥に入り、 おだやかな、そして心をいやす同情で、
いつの間にか
憂いの疼きを拭い去ってくれる。

はげしい苦しみや、息づまるような暗闇が、
あなたを恐れさせ、心の病になりそうなとき、
出よ、開かれた大空のもとへ。そして自然が語ることに耳を傾けるのだ。
そのとき周囲のすぺてから
大地からも水の流れや大気の深みからも、
しずかな声が聞えてくる。

To him who in the love of Nature holds
Communion with her visible forms, she speaks
A various language; for his gayer hours
She has a voice of gladness. and a smile
And eloquence of beauty; and she glides
   
lnto his darker musings, with a mild
And healing sympathy,that steals away
Their sharpness, ere he is aware.
… …
Go forth, under the open sky,,and list
TO Nature's teachings, while from all around

Earth and her waters, and thc depths of air
Comes a still voice

(「サナトプシス」より。ブライアント(17941878)はアメリカの詩人。「ニューヨーク・イブニング・ポスト」紙の編集者、後に同紙の主筆。ジャーナリストとして、、言論の自由、労働者の権利、奴隷制度の廃止をとなえて精力的に活動した。
ロマン派の詩人ワーズワースのように自然をうたったことから、「アメリカのワーズワース」とよばれた。1870年と71年に出版した、ホメロスの「イーリアス」「オデュッセイア」の英訳詩は、現在でも英語による最高の詩といわれている。
(エンカルタ百科辞典より)


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