休憩室(2012年)



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○木星と、冬の星座


 日本海側に住む人たちには、冬空はほとんど星を見る機会もなく、雲で覆われた夜空だと思いますが、太平洋側の徳島では、しばしば澄みきった夜空に、ほかのどの季節にもない厳しさのなかに輝く澄んだ星たちがみられます。


 ことに今年は、木星が、冬の強い光を放っている星々のリーダーのように、強く透明な光を地上に注いでいて、夜半に外に出て星空を仰ぐたびに、その神の国にある清らかさそのままの光に心が惹かれます。


 夜、10時ころに、南の空には、オリオン座が正面に見えます。その右上、頭上に最も強く輝いているのが木星であり、そのすぐ下にあるのが赤色の牡牛座の一等星アルデバランです。さらにその右上方にすばる(プレヤデス星団)が見えます。


 中学1年のとき、かんたんな手製の望遠鏡を作ってそのすばるを見たときの感動はいまも覚えています。たくさんの星々が初めてはっきりと見えたからです。


 さらに頭上の北寄りに明るく光る御者座のカペラという一等星があります。オリオン座の左、東のほうには、小犬座の一等星 プロキオンが見えて、さらにその下方南寄りには恒星では全天で一番目に明るいシリウスが輝いています。

 すばる(プレヤデス星団)は、いまの季節に最もよく見ることができます。千年ほども昔、日本人の書いたもの、万葉集やそれ以降のさまざまの和歌集にもほとんど星の記述がないなかで、清少納言は、「星は、すばる。ひこぼし。ゆふづつ。」といった記述を残していて、これは中学の国語の授業で学んだとき以来知らされていることです。


 しかし、その星の順序がどうも不可解であったのです。とくにすばる(プレヤデス星団)が、最もよく見えるのは冬ですが、そのときには、オリオン座の二つの一等星や大犬座のシリウスの強い光その他たくさんの明るい星々―一等星たちが1年のうちで最も多くみられます。


 それなのに、星がはっきり見えないで薄雲のように見えるこのぼんやりとした星の集りをなぜ、第一においたのか、ということです。また、天の川をはさんで、こと座のベガ(織女星)と、わし座のアルタイル(牽牛星、ひこぼし )は夏にははっきりとよくめだちますが、アルタイルよりベガが明るく、まずこちらのほうが目に入ります。それにもかかわらず、わし座の彦星(ひこぼし)をあげていること、そして ゆふづつとは金星ですが、この宵の明星として いかなる星よりも強く輝く金星がそれらよりあとに置かれているということも不思議なことです。


 これは単に清少納言個人の好みの問題を越えて、日本人のあいまいなことを好む感性が表れていると言えます。くっきりとした強い輝きの星よりも、雲でくすんだような星の集団に、より心惹かれたということです。


 こうしたことが、いかなるものにも抜きんでて万物を支配されている神を受けいれず、人間でも動物でもまた大木や山、あるいは死んだ人まで、その正体がわからないもの、曖昧模糊としたものを神々として拝むということにもつながっていると思われます。


 私たちの心の世界も、もし聖書で示されている明確な本質を持っておられる神を知らないときには、その心の中はやはり薄雲がかかったようなどんよりとした暗さが覆っていると言えます。光あれと言われる神を知らずその神を受けいれないということはその光を受けいれないからです。


 主イエスも次のように言われました。

 

… 神の光を受けいれるための心の窓(魂の目)が濁っていたら、光は入ってこない。すると全身が暗い。魂の内なる神の光が消えたら、その暗さはどれほどであろう…(マタイ福音書6の2223より)

 善か悪かあいまいではっきりしないことを、そのまま受けいれるのでなく、善はあくまで夜空の星のように明確な本性を持っているということを示され、それを記しているのが聖書でもあります。

 なお、金星は明けの明星として9月ころからずっとその輝きを見せてきましたが、1月の下旬には見えなくなります。 早朝の東空にはっとするような輝きを見せていましたので、それが見えなくなるのは名残惜しい気持ちです。

 



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○木星

この頃、夜11時ころになると、東から澄んだ輝きの木星が現れてきます。これからかなりの期間、少しずつ見える時刻ははやくなっていきつつ、その光を私たちに見せてくれます。
その、私たちを見つめるような輝き、このところずっと台風などの影響のため、晴れる日がなく、見ることができなかったので、ずいぶん久しぶりに見たその木星の輝きはとくに心に入ってきたのです。
雨上がりの月のない夜、澄みきった東の空に、輝くその透明な光は、その単純さ、清らかさにおいて他のどんなものにもまさるという感じがします。


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○5月の夜空
5月中旬には、夕方、西の低い空をみますと、金星がその明るい光を見せています。何カ月か私たちの目を楽しませてくれましたが、もうじき見えなくなります。
夜の8時ころに、南の空を見上げると、やや西よりに赤くて明るい火星が見えます。火星の右下には、しし座の一等星レグルスが見えています。
その左(東)のほうへとゆっくり目を向けると、やはり瞬きをしない明るい星が見えます。これが土星です。そして、土星のすぐ下に、乙女座の一等星スピカが見えていますので、ぜひこの二つの惑星とともにスピカを見つけておくとよいと思います。
さらに、土星の上の方、頭上へと視線を移すと、明るい橙赤色のアークトゥルスが見えます。これは、恒星のうちでは、おお犬座のシリウス、冬に南の下方に見える龍骨座のカノプスに次いで3番目に明るいのですぐにわかります。とはいえ、カノプスは、関東付近ではほとんど見えないと思われます。徳島では、晴れて大気の澄んだ冬空に南の低い山のすぐ上にかろうじて見える星ですから、大多数の日本人にとっては、このアークトゥルスは、シリウスについで明るい恒星として見えます。
去年から、木星と金星が夕方にずっと見えていましたが、そのうち木星がだんだん光が弱くなり、見えなくなっていくとともに、火星が東から見えるようになりました。さらに、金星が低い空にだんだん見えなくなろうとするとき、今度は、土星が東から姿を現してきました。
夜空の星に関心を持つと、とくにそれがよく見える地方においては、心を広くかつ高くし、また清めてくれるはたらきをしてくれます。


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○最近の夜空、火星他
厳冬期の夜空をながめる人は、その寒さのゆえにほとんどいないかも知れませんが、最近の夜空は、めったに見られないほど、明るく澄んだ星々が多く見られるのです。
まず、夕方には、以前から何度か指摘した金星が、西の空に強い輝きを見せていますし、それより南寄りには、木星がやはり大きな輝きで見えます。この二つはだんだん距離が狭まっているのが、以前からこの二つの星を見ている人にはよく分るはずです。
夜9時過ぎになると、木星は西に傾き、オリオン座やおお犬座のシリウスなどが、南の空に輝いています。そして、東から、火星が上がってきます。火星は明るくしかも赤い星なので、晴れていれば、この時間に東を見ると、だれでもすぐに見つかる惑星です。
このように、冬の空は、もともと1年で最も明るい星々が輝いているのですが、そのうえに、金星と木星が同時に見られ、さらに金星が西に沈むころに、東から火星が上ってくるために、近年見られなかった輝かしい夜空となっています。
北国や日本海側では連日の大雪で星空など見えない状況ですが、関東から南の太平洋岸では、しばしば晴れるので、これらの明るい星々に接して、神の国の光を思い、この世の汚れに染むことのない清い世界からのメッセージを受け取る機会となります。


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○宵の明星と木星
去年の12月下旬から、夕方の西空には、宵の明星と言われる金星がその心惹かれる輝きを見せているし、ふりかえって南東の空を見ると木星が、ほぼ同じような強い澄んだ光で輝いていて、互いに輝きを交わしあっているようです。
12
月末ころには、その間に、三日月が見られ、冬の澄みきった夕空に、得難い光景が見られました。
夕闇のなか、冷たい風の吹くなか、ただこの三つの天体が輝いているという単純きわまりない光景ですが、その単純さのなかに深い神からの語りかけを感じることができます。
11
月の中旬には、金星は西の地平近く、木星は、東の空低くに見られ、次第にこの二つは近づいてきましたが、これからも、さらに木星と金星の距離が近づき、3月の中旬になれば、この二つは間近の位置となって見えるようになります。
この金星が、夜明けに見えるときは明けの明星と言われ、それは聖書の最後の章に、キリストを象徴するものとして現れます。この世にあるほかのどんなものも、闇に強い輝きをもって私たちを見つめるこの星ほど、キリストを指し示すものはないと、古代ローマの厳しい迫害を受けていた人たちは実感していたのがうかがえます。
私たちが最も必要としているのは、私たちを取り巻くさまざまの闇にありつつも、そこに永遠の光を見いだすことゆえ、これらの星はその最も重要なことへと私たちの思いを引き寄せてくれるのです。