リストボタン(203)あの青い空へ

あの碧蒼な空へ
帰れるのだと思ったら
今日もほんとうに
いい一日だった

私から何もかも
取り上げてしまわれた
神様はいい方
神様ご自身を下さった!

もうすぐ
あの雲のように
自由になれるのね
ああ お父様
ありがとう!
(「祈の友」信仰詩集 180Pより 野村伊都子の詩 一九五四年静岡市 三一書店刊)


○青い空、白い雲、それはこのような死が近いと思われるほどの苦しみの中にある者にも、神の国へと魂を引き寄せるものとなる。そのような青い空や雲こそは神の心を表しているものであるから。
・この詩の著者である、野村伊都子は、若くして腎臓結核となり、苦しみにさいなまれたが、そこから生み出された詩、文は結核などで苦しむ人たちを力づけた。作家の三浦綾子もその一人で、次のように書いている。
「世には血のしたたるような本がある。私が十三年の療養中によんだ『静かなる焔』はそのような本であった。言語に絶する腎臓結核の苦しみ、その苦しみと戦うキリスト者野村伊都子さんの生々しい記録―。当時、この一冊に奮い立たされた療養者のいかに多かったことか。」