2012年10月
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(343)人生の最も美しい目的は、できるだけ多くの善きことを行なうことである。

 (ヒルティ「幸福論第一部132頁」)

・これはマザー・テレサの言葉、

Something beautiful for God

を思い起こさせる。

 ここにあげたヒルティの言葉は、人生の目的に関して実に簡潔であり、 無数の目的があげられるなかで、きわめてわかりやすいものである。しかし、本当に善いことであるためには、動機が純粋でなければならない。他者のために善いことをするといいながら、心の中では、そうすることで人々からよい評価を受けるとか、自分で何かよいことをした気持ちになりたいからといった自己満足のためにするのなら、それは善いこととは言えない。

  持続的に真実な愛をもってすることが本当に善いことと言えるが、それは善そのものである神と結びつかねばなし得ないことである。

 神とむすびついた心でなすとき、それは小さなことであっても、神が大きく意味深いものとされる。

 主イエスが、ぶどう酒を水に変えた奇跡がある。私たちのすることは、水のような実態のないものであっても、それをぶどう酒―味わい深い善きものの象徴として言われているーとなすのは、神である。

 私たちの小さきことをも、清きものとしてくださるのは神であり、そのように神の万能と愛を信じてなすときに、善きこととなる。それは言い換えると、祈りの心をもってなすとき、さまざまのことは善きことになる。

 病気となって祈るだけしかできなくとも、その祈りによって神がよきわざをなしてくださることを信じることができる。

 そして真実な祈りそのものが、「善きこと」であるから、私たちは、他者のための神への祈りを続けることで、善きことをなし続けることになる。