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カエデの仲間には、いろいろあります。徳島周辺で一番よくみられるのは、このイロハカエデです。 カエデの仲間はそのの紅葉が色鮮やかでだれの心にも訴えるものがあり、古来有名です。わが家のある山で、この写真の光景に出会って、さまざまの色の交響楽が聞こえてくるように感じ、さらに天然の色の風景が心のフィルムに残りました。
自然のなかで、赤、黄色、褐色、そして常緑樹の緑と、それぞれがハーモニーを奏でているようです。自然の世界では、このように、一つ一つ大きさや色合い、また形もちがっていてそれが全体としてよきものを生み出しているのです。
人間の世界では、自分が上になろうとする競争がどこにでも、こどもの世界からすでにみられ、国家や民族の争いという大きな規模においてもみられます。
自然の世界は、そうした人間の世界を静かに見つめて、沈黙の中から、このように互いに異なるままで全体としてよきものを生み出すことができるのだと指し示しているのです。
なお、カエデとは、「カエルの手」のような葉からきていると言われています。イロハカエデは、タカオカエデ、イロハモミジなどとも言われます。タカオ(高尾)は京都のカエデの名所です。また、「もみじ」という言葉は、樹木にも草においても用いられ、紅葉(黄葉)するものを言います。ですから、野草の一部は晩秋になると、赤や褐色、黄色などになるものもあり、それらを「くさもみじ」ということもあります。
カエデの仲間は、オオモミジ、ヤマモミジ、ハウチワカエデ、イタヤメイゲツ、イタヤカエデ、ミネカエデなど日本では25種類ほどもあります。 カエデひとつをとっても、葉や樹木のすがた、そして秋の紅葉の実に多様な変化は、神の私たちへの贈り物であり、神の国への呼びかけを感じさせるものがあります。 (写真、文ともにT.YOSHIMURA)
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