頂上に近いところからは、丈の高い樹木がほとんどなく、弱々しいはずの野草たちが厳しい風雪に絶えて頂上近くの山域で増え広がっていったのはとても不思議なことと感じます。頂上付近一帯には高山性の美しい花を咲かせる野草たちが広がっています。それらは、一つ一つをとれば、踏みつけられたらそれで枯れてしまうかと思われるほどであるのに、こうしたもっとも環境としては厳しい山頂部で増え、生き続けてきたのです。それは、聖書の有名な言葉、「神の力は弱いところに現れる」というのを思い起こさせてくれます。
神は、このように自然のなかにも、弱いと見える野草たちに、また別の強さを与え、それだけでなく、強そうにみえる植物、樹木などが持っていない繊細な美しい花をつけるように創造されているのです。
人間の世界にも、似たようなことがあります。 社会的にも活躍し、強そうにみえる人、能力に恵まれているように見える人の心にはかえって清い花が咲かず、何も取り柄のないような素朴に見える人のなかにかえって清いものが感じられるということはよくあります。
神は、さまざまの領域において、その愛と万能の力をもって、驚くべき深みのある世界を創造し、いまも支えておられるのだと感じます。 (文、写真とも T.YOSHIMURA)
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