タチツボスミレ 徳島県小松島市日の峰山 2003.3.31
山を歩いていて最も多く見られるのがこのスミレです。
スミレの仲間は多くあり、○○スミレという名前でなく、「スミレ」は濃い青紫の花で、葉もへら型で、このタチツボスミレとは異なっています。
春らしさをだれもが感じる野草です。寒い冬の山道にて、こうしたスミレのなかまを見いだしたときに春の近づいたことの喜びを感じるものです。
芭蕉が、「山路きて なにやらゆかし すみれ草」とうたったことを自然に思い出すものです。
それは、人間世界の汚れや混乱とは別の世界を暗示するものゆえに、「ゆかし」、つまり心惹かれるものです。
日本のスミレのなかまは55種もあり、『万葉集』にも四首歌われています。そのなかでも、山部赤人(やまべのあかひと)の歌をあげておきます。
「春の野に すみれ摘みにと来し我ぞ 野をなつかしみ 一夜寝にける」(八巻1424)。