ハクサンシャクナゲ  秋田駒ヶ岳 2013.7.19 
 ハクサンシャクナゲ  秋田駒ヶ岳 2013.7.19 

  シャクナゲの仲間は、いろいろとあり、日本の各地でみられるものでツツジの仲間です。私の住む徳島県でも、山地でシャクナゲの自生に出逢うこともありますが、その自生地として知られている1000mを越える山に登っても個体数はごくわずかです。

 それに対して、このハクサンシャクナゲ(*)は、本州中部地方から北や北海道などで生育し、秋田駒ヶ岳や大雪山、福島県の吾妻連峰などにはよく見られ、秋田駒ヶ岳の一つの登山ルートは、とくに多く、シャクナゲコースと言われているほどです。高さは、1mに満たないものから、3mほどになります。花びらの内側に淡緑色の斑点があるのが特徴です。

 ハクサンシャクナゲは写真のように、つぼみのときには、淡紅色ですが、花が開くとともに白い花びらとなっていくのが多いのですが、淡紅色の色の強いのと白色のものまでいろいろと見られます。 

(*)この名前にある白山とは、石川県と岐阜県にまたがる山。標高2,702m。白山は有名な山で多くの人が登り接することも多かったので、ハクサンという名のついた植物は、ハクサンチドリ、ハクサンシャジンなど10種ほどもある。 

 半年も雪に覆われ、風雪の厳しい北国の高山は植物の生育には困難と思われるにもかわらず、そのようなところにかえってこのような美しい花々が、多く見られるのは暗示的です。

 精神的な世界においても、さまざまの厳しい試練をくぐり抜け、それに耐えてなお道を踏みまちがうことなく、真実なものを目指して歩んでいった人たちは、彼等の心の世界にこのような清くて美しい世界が開けていったものと思われます。

 魂の目というべきもので見ることのできるものがこの世には確かに存在しているからです。

 最初のキリスト教徒の殉教者として知られるステファノは、彼が真理を語ったゆえに憎まれ、多くの人から石を投げつけられて絶命しましたが、そのような危険な状態にあるとき、天が開けてイエスが神の右に立っておられるのが見えたと記されています。

 神の国とは最も清く美しい国、そこに咲いている完全な花こそ復活のキリストですが、そのようなものが、苦難のただなかで心の内に示されたのです。

 私たちも自分中心に生きていくだけなら、平地には雑草といわれるものが多く美しい花にはなかなか接することができないように、そうした清い世界が心に開けるのは難しいと思われます。他方、高い目標―キリストや神の国を見つめ、日々の汚れを主によって赦され、清められつつ歩みを続けるときには、神は必要なときにこうした美しい花々に相当するものを見させてくださると信じることができます。

「求めよ、そうすれば与えられる」と主イエスが約束されているからです。 

                                                          (写真ともT.YOSHIMURA)

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