ヨツバシオガマ 月山(がっさん 標高1984m)にて 2010.7.30 (ゴマノハグサ科。この科に属する野草には、美しい青色の花とそのすらりと伸びる花茎で知られるクガイソウやヤマルリトラオオなどがあります)
シオガマギクという高山に多い野草があります。手もとの高山植物図鑑にも20種類ほども記載されています。 (徳島県の剣山(1955m)にも、山頂付近の草原帯で、トモエシオガマがあります。 ) その中でも、このヨツバシオガマは、名前のように葉が茎のまわりに4枚、輪生しています。 高さは、10〜40cmほど、花は赤紫色の美しいものですが、葉もあまりほかの野草ではみられない小さく羽状になって美しいものです。
そのため、代表的な高山植物として親しまれているものです。このヨツバシオガマは、本州の中部以北から北海道の高山帯の草原に自生しているものですが、その近縁種である エゾノヨツバシオガマは、北海道から、樺太、千島列島、カムチャッカ、アリューシャンといった厳しい寒さの風土にて生育すると記されています。 この写真のヨツバシオガマは、山形県の北部の標高2000mほどの月山で撮影したものです。 右の写真にあるように、緑なす高山帯の草原でこのような可憐な花が咲いているのを見るのは、神の雄大なカンバスに描かれた芸術品のような感じがしたものです。 この野草のすぐ近くの山の斜面には、7月末というのに雪渓が残っていて冬季の厳しい寒さと大量の積雪のことを思いださせます。 一見弱々しく見えるこの植物は、長い冬に耐える強靱さを秘めているのです。 聖書にも、弱いところにこそ、神の力はあらわれるとあります。氷雪に覆われる何カ月を耐え、わずかの夏の間に生育し、美しい花を咲かせていく、これはいかなる厳しい状況にあっても、神の力が働くことによって、人間も、花を咲かせることができるという、私たちへの喜ばしいメッセージが込められていると感じられるのです。(写真、文ともT.YOSHIMURA)