創世記講話
聖書講話 吉村 孝雄
(徳島聖書キリスト集会代表者)
27章1節〜27章29節

「リベカの計略」
前へ 戻る 次へ

新共同 創  27:1-29

27:1 イサクは年をとり、目がかすんで見えなくなってきた。そこで上の息子のエサウを呼び寄せて、「息子よ」と言った。エサウが、「はい」と答えると、

27:2 イサクは言った。「こんなに年をとったので、わたしはいつ死ぬか分からない。

27:3 今すぐに、弓と矢筒など、狩りの道具を持って野に行き、獲物を取って来て、

27:4 わたしの好きなおいしい料理を作り、ここへ持って来てほしい。死ぬ前にそれを食べて、わたし自身の祝福をお前に与えたい。」

27:5 リベカは、イサクが息子のエサウに話しているのを聞いていた。エサウが獲物を取りに野に行くと、

27:6 リベカは息子のヤコブに言った。「今、お父さんが兄さんのエサウにこう言っているのを耳にしました。

27:7 『獲物を取って来て、あのおいしい料理を作ってほしい。わたしは死ぬ前にそれを食べて、主の御前でお前を祝福したい』と。

27:8 わたしの子よ。今、わたしが言うことをよく聞いてそのとおりにしなさい。

27:9 家畜の群れのところへ行って、よく肥えた子山羊を二匹取って来なさい。わたしが、それでお父さんの好きなおいしい料理を作りますから、

27:10 それをお父さんのところへ持って行きなさい。お父さんは召し上がって、亡くなる前にお前を祝福してくださるでしょう。」

27:11 しかし、ヤコブは母リベカに言った。「でも、エサウ兄さんはとても毛深いのに、わたしの肌は滑らかです。

27:12 お父さんがわたしに触れば、だましているのが分かります。そうしたら、わたしは祝福どころか、反対に呪いを受けてしまいます。」

27:13 母は言った。「わたしの子よ。そのときにはお母さんがその呪いを引き受けます。ただ、わたしの言うとおりに、行って取って来なさい。」

27:14 ヤコブは取りに行き、母のところに持って来たので、母は父の好きなおいしい料理を作った。

27:15 リベカは、家にしまっておいた上の息子エサウの晴れ着を取り出して、下の息子ヤコブに着せ、

27:16 子山羊の毛皮を彼の腕や滑らかな首に巻きつけて、

27:17 自分が作ったおいしい料理とパンを息子ヤコブに渡した。

◆祝福をだまし取るヤコブ

27:18 ヤコブは、父のもとへ行き、「わたしのお父さん」と呼びかけた。父が、「ここにいる。わたしの子よ。誰だ、お前は」と尋ねると、

27:19 ヤコブは言った。「長男のエサウです。お父さんの言われたとおりにしてきました。さあ、どうぞ起きて、座ってわたしの獲物を召し上がり、お父さん自身の祝福をわたしに与えてください。」

27:20 「わたしの子よ、どうしてまた、こんなに早くしとめられたのか」と、イサクが息子に尋ねると、ヤコブは答えた。「あなたの神、主がわたしのために計らってくださったからです。」

27:21 イサクはヤコブに言った。「近寄りなさい。わたしの子に触って、本当にお前が息子のエサウかどうか、確かめたい。」

27:22 ヤコブが父イサクに近寄ると、イサクは彼に触りながら言った。「声はヤコブの声だが、腕はエサウの腕だ。」

27:23 イサクは、ヤコブの腕が兄エサウの腕のように毛深くなっていたので、見破ることができなかった。そこで、彼は祝福しようとして、

27:24 言った。「お前は本当にわたしの子エサウなのだな。」ヤコブは、「もちろんです」と答えた。

27:25 イサクは言った。「では、お前の獲物をここへ持って来なさい。それを食べて、わたし自身の祝福をお前に与えよう。」ヤコブが料理を差し出すと、イサクは食べ、ぶどう酒をつぐと、それを飲んだ。

27:26 それから、父イサクは彼に言った。「わたしの子よ、近寄ってわたしに口づけをしなさい。」

27:27 ヤコブが近寄って口づけをすると、イサクは、ヤコブの着物の匂いをかいで、祝福して言った。「ああ、わたしの子の香りは/主が祝福された野の香りのようだ。

27:28 どうか、神が/天の露と地の産み出す豊かなもの/穀物とぶどう酒を/お前に与えてくださるように。

27:29 多くの民がお前に仕え/多くの国民がお前にひれ伏す。お前は兄弟たちの主人となり/母の子らもお前にひれ伏す。お前を呪う者は呪われ/お前を祝福する者は/祝福されるように。」