休憩室
○木星の輝き
最近、夜の八時ころには、東の空に強い光を放って心惹かれるような星が見えてきます。夜半の明星とも言われる木星です。天気がよいときには、一晩中見られます。深夜零時ころにはほぼ真南の空に移動していてよく見えますから、見たことのない方は、ぜひ見てほしいと思います。木星の光は、ほかの星とは群を抜いた強い透明な感じの光なので誰でもすぐに分ります。
金星は夕方の空に強い輝きを見せてきたのですが、それがもう見えなくなりつつあります。その代わりに、東の空にこの木星がバトンタッチするように見えるようになっています。
これからかなりの期間にわたって木星は夜に私たちに語りかけるように夜通し見られるのは幸いなことです。やはり星の光はいかなる地上世界の状況にもかかわらずずっと輝き続けていることもあって、見えるもののうちでは、とくに神の真理やそのまなざしを感じさせてくれるものだからです。
ダンテがその神曲において、地獄偏、煉獄篇、天国編の三つの部分の最後に 星(ステレ stelle)という言葉をおいたのも、彼が、星に深い意味を感じ取っていたのをうかがわせることです。
なお、このイタリア語のstelle は ラテン語のステールラ stellaに由来していますが、この語は、ギリシャ語の アストロン astronや アステール aster、さらには 英語の star、ドイツ語の シュテルン Stern などとも語源的には共通しており、古代の広範な民族において、星という言葉は、同じ語源に由来する言葉を用いてきたのがわかります。