詩文集 第13集 2011年 「光のかけら」 |
光のかけら
神様の光のかけらを届けてください 幼いときから苦しむ命 傷ついた若い心 人は生まれるところを選べない 病んでいく心 それはあなたの責任ではない だから自分を責めないでほしい
神様はあなたを 必ず癒してくださる
キリストの光のかけら どうかあなたに届きますように
病んだ心を抱えて なすすべもなく それでもけなげに笑顔を見せる 小さいときからがんばってきたんだね 苦しかったね がんばれるところまでがんばったから 心がポキンと折れてしまったんだね 痛かったでしょう
あなたに キリストの光のかけらを届けたい 神様の光のかけらを届けたい これがあれば 新しく生きていくことができるから
ヨハネ福音書八・12
朝陽が海にキラキラ輝き ひとすじの 光の道が続く
この道は 主イエスが歩かれた道 「安心しなさい、わたしだ」と
信じて歩けば 海の上は渡ることができる
だから 一歩 足を海の上に踏み出してみよう
薄茶色に包まれた二月の畑のあぜ道に 気の早い 菜の花一輪咲いている
冬枯れの野原 寒い風 けれどこの土の下に 春の花がじっと時を待っていることを 寒さをこらえて 告げに来た
だから あなたも 元気を出してね、と。
祈ろうと ベッドの横にひざまずき 右の手と左の手を合わせた そのときに
閉じられていた水門が開いて 水が流れ出すように 神様の愛が 天からあふれ出してくる
もう少しいい人になってから 優しい人になってから このままでは神様の前には出られないから なんて 取り繕わなくてもかまわない 神様は、そのままのわたしをご存じなのだから
よくない心になったときでもそのままで 嫌になったときもそのままで 着の身着のまま御前に出よう どうしようもないまま、 救い主の前にひざまずこう 心の底からうなだれたとき 神様はイエス様という 清らかな服を値なしに着せてくださる
人の心は悲しい がんばっても 祈っても なかなかうまくいかない
でも これでいいんだ
だからこそ すべてを包み込んでくださる キリストがいてくださる
冬枯れの木の 枝の先から
新生児の手のような 小さな新芽
その堅い枝の どこに新しい命を秘めていたのか
やわらかい手を合わせ 生まれたばかりの新芽が 枝の先で 祈っている
一本の木と 向かい合って祈るとき 一本の木は ひとりの 信仰の友のように わたしと 祈りを合わせてくれる
トマトの花が咲きました 月のような黄色です。 やがてトマトは実を結ぶ はじめは小さな黄緑色 太陽のひかりを受けながら トマトはだんだん熟します そしてトマトは赤くなる 赤くなっておいしくなる
神様はふしぎなお方 色もかたちも変えながら 人にトマトを与えてくださる
深夜勤務の朝の巡視は午前六時 「おはようございます」 声をかけてまわっていく
夜が明けて 何とか病棟に入ろうとした朝の光が 窓のすきまから、部屋をとおり 廊下にひとすじの線をひく
うつくしい光の線に おもわず、涙ぐみそうになった
光よ届け! と語られる ここにも神の愛がある
天の窓を開いて
神様のもとから吹き抜けてきた風が
この病院のケヤキ並木を通り抜けて
仕事帰りのわたしのところに
今 届いた
心が曇るとき そのままにしていてはいけない
その暗さは 他の人の心まで暗くしてしまう すぐにみまえに出よう 主に心を今すぐ変えていただこう
主は いつでも待っておられるのだから
天から注がれてくる力がある
あの プラタナスの木のてっぺん その上に広がる大空の そのまだはるか彼方から 注がれてくる愛がある
この世とまったく別の世界から 本当の力は注がれる
夕暮れの山里 風が吹けば いっせいに 木々が話しかけてくる
木々たちと 心通い合う 不思議なひととき 優しいひととき
赤ちゃんは 困ったらすぐに泣いている お母さん来てと 泣いている
どうしようもない 自分自身をもてあますとき もっと素直にイエス様に 早く来てと 泣けばいいんだ
母親が子どもを見ているように イエス様も わたしたちをじっと見つめて 待っていてくださるのだから
新生児は 何も話さず何も作らず ただ横たわり眠り そして、泣くだけ その存在だけが回りを幸福にしていく 不思議な力 そこには何の理由もなく ただ、神から人に与えられたものだと知らされる やわらかくあたたかい小さないのちを囲んで 大人はほほえむ 生きている、その存在が ちいさな光なのだ
「天に輝くあなたの威光をたたえます。 幼子、乳飲み子の口によって」 詩編八・2~3
新生児の目は まだ見えていないという しかし 天の国から来た 透き通ったまなざし 真実なまなざし
きっと 大人が見えないものが 見えている
不思議な深い瞳の奥に 人が見失ったものが 映っている
目には見えない 人のことばで 立ち直れないほどに傷ついて 目には見えない 神の支えで そこからまた、歩きだすことができる
目には見えない 闇の力と 目には見えない 神の力と
わたしは ふたつの力の中を 迷いながら倒れながら歩く者
しかし、 確かな結果がある 神の力は闇の力に すでに勝っていてくださるということ
人の命は、はかない すべては通り過ぎていく 風を追うように 何かを求めて人は人生を終えるのだろう しかし その中で ささやかな愛の業は 灯火となって回りを照らしていく 神は愛 愛は神からくる 本当の幸福は ここにある 与えられ 注ぎ出す この愛の中に
まっすぐに天を見つめていくと 心はかわっていくんだよ 下を向いたら進めない 前を向いたら人を見る それでは重荷が重すぎて 優しい心になれません
まっすぐに天を見つめて祈っていくと 心が軽くなるんだよ
与えられた重荷が 確かに軽くなることを 心がはっきり知るために 人は重荷を授かるのかも知れない
信号機は 人が決めた決まり事 それでも、だれもが赤では止まる
神様 どうかわたしの心の道に あなたの信号機をおいてください。 赤では止まり 青では進む わたしの思いではなくて あなたのおこころの通りに進めるために あなたが操作してくださる 信号機をおいてください
風がない日 煙突から 白い煙 まっすぐに天に昇る
天に帰るこころのように
大空を見上げてから 聖霊を 胸いっぱいに吸い込んで 息を止めてみる。
さあ このまま きょうも仕事に行こう
きょうも夜勤で疲れた 看護師の仕事は 体や心を削りながら働いている 一本の鉛筆
その鉛筆で 書いている文字は何だろう 描いている絵は何だろう 神様の愛を書きたいのに 時間に追われ 仕事に追われ 何かを削って小さくなっていく
しかし 削られていくただ中に キリストはいてくださるのだ
最後に書き終えるとき 描かれているのは すべてを清める キリストの十字架
仕事が終わって 病院から出ると 突然の風 追い風 強い風
後ろから吹いて 背中を押される。
風に押されて 前に進む
優しい主の御手に押されている 主はいつも わたしの味方なのだ
赤ちゃんが子犬を見つめている 子犬が赤ちゃんを見つめている
純粋なまなざし同士が ふしぎそうに見つめ合っている
急に降り出した 三月の冷たい雨に 出てきたばかりのツクシたちが 驚いて震える
でも どんなに冷たくても 春を信じて 疑わずに立っている
今までの人生 振り返ると 悲しい。 ずいぶん人を傷つけた 間違ったことをした 裏切ったこともある そして傷ついた
時の流れは容赦なく やりなおしはきかない
しかし そのすべてを主イエスの十字架につなぐとき 主はすべてを包んで こんな闇をも、いつくしんでくださる
この目の前に広がる 眉山を創られた方が わたしを守る
眉山の上に広がる 冬空を創られた方が わたしを守る
冬空の向こう うっすらと光る太陽を創られた方が わたしを守る
だから わたしは壊されることはない
手のひらをしっかり結んで 握りしめている 赤ちゃんの手は小さなつぼみ その小さな手の中に 神様から託された 大事なものをじっと握っている これから少しずつ そのつぼみは開かれて 神様から託された 愛の花を咲かせていくのだ
赤ちゃんの瞳は 天の国の湖
神様のおこころをそのまま映して ただ、真実に澄みわたり まなざしには あふれるほどの 純粋な愛
赤ちゃんの瞳は 天の国のしずく
車の通る道路沿いの畑に ぽいぽいと捨てられている 空き缶 ペットボトル ポテトチップスのあき袋
そのうえに覆うように菜の花が かなしい人の罪を抱きしめて きよらかに咲いている
小さな木の小さな新芽は 新生児の手のひら
祈って 祈って 春をよろこぶ 小さな手
神様を信じて導かれて生きていきたい けれど 何が真実なのかわからないことが出てくる 疑問がわき出たときには 心がもやもやしてくるから そこばかり見ているとわからなくなってくる 目の前の疑問は 神様のところに置きに行こう すみませんがわかりませんのでと 素直に差し出し保管していただく 時が来たら 神様が解きほぐしてわからせてくださる 今は このときにできることを。
時の線路の上を走る列車の窓にもたれて 外を見る 車窓から流れ過ぎ去る風景 その一瞬一瞬が今という時 出会い、別れ 喜び、悲しみ 泣いたり笑ったりしながら 日々を生かされていく そしてすべては過ぎ去る車窓の風景 しかし この列車の行き着く先には 待っていてくださる方がいる だから きょうも、この線路の上を走っていく
仕事から帰る 真夜中の土手の一本道
暗闇の道
それでもなお わたしは信じていこう この道は
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