(334)静寂から生まれた心の静けさの中にいること。
しかしこの自由は行動のさなかにおける自由であり、この心の静けさは人々のさなかにおける心の静けさである。
現代にあっては、聖化の道は必然的に行動のなかを通っていく。(ハマーショルド著(*)「道しるべ」みすず書房
一一九頁)
(*)ハマーショルド(1905-1961) スエーデンの政治家。外交官。国連事務総長(1953 -
1961)父親は、スエーデン首相であった。1961年9月17日夜、コンゴ動乱の停戦調停に行く途中、アフリカで飛行機が墜落。事故死した。死後、ノーベル平和賞受賞。母方には、学者、聖職者がいてその影響を強く受けた。
ハマーショルドの航空機事故による死は、当時高校生であった筆者の記憶には鮮明に残っている。コンゴの動乱の解決の日夜活動を続けていたことでその名前は当時の私にも親しかったが、その突然の死はとても強い印象を残した。
・国連事務総長という激職のなか、とくにコンゴでの動乱が起こり、休むひまもないような仕事のただなかにあって、彼はつねに魂の一点に静けさを保ち続けていた。そして日記風にこのような文章をだれに見せるという目的でなく、内なるうながしに従って書き続けた。この「道しるべ」(英訳のタイトルは、Markings)という本の内容は、彼の死後、さまざまの書類などとともに発見された。
彼の真実な働きは、広く知られていたが、その原点は心の内に神とともにある静けさを常に持っていたことにあった。
主イエスこそ、そうした行動のなかの静けさを完全なかたちで持っておられたお方であった。