(98)私どもは、たとえ命に関わる場合でも、嘘をついてはならないのです。それが私どもの教えで、心をこれに合わせていきたいのです。
・・私たちを見て下さい。私たちには、別れもないし、苦しみや悲しみもありません。そういうものが起こってきてもやがて喜びに変わります。
あなた方には命の終わりになっている死が、私たちには、ただ命の始めですし、さらにみじめな幸福からもっといい幸福、不安な幸福からもっと安心な永遠の幸福に変わることです。
敵に対してさえ憐れみを命じ、嘘を禁じ、私たちの魂を悪から清めて死んでからも絶えることのない幸福を約束する教えがどういうものか考えて下さい。・・そうですとも。キリストを信じていて不幸になるわけがありません。(「クォ・ヴァディス」(*)中巻第四章のリギアの言葉より)
(*)ポーランドの作家シェンキェヴィチ作。一八九六年刊行。ローマ帝国のネロ皇帝による迫害の時代におけるキリスト教徒を題材にした小説。著者は、一九〇五年ノーベル文学賞授賞。パウロやペテロも現れ、信仰とそこから生まれる愛によって敵すらも変えられ、悪が克服されていく。 |