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リストボタンヤコブが見し一つの梯子秋天へ 田川飛旅子(*)

・秋の澄みきった青空、そこに天への梯子(階段)が見える。かつてはるかな昔ヤコブが孤独な旅路の途中で夢のなかで啓示された天と人をつなぐ梯子が現代の私たちにも、心して見つめるときには浮かびあがってくる。創世記によれば、その天に至る階段には御使いが上り下りしていたとある。
天からの清い霊が流れ、地上からは人の神に捧げる思いが上っていく。天と人との霊的な交流がそこにある。これはヤコブだけに生じたことでなく、この詩人の心の奥深い体験でもあったし、私たちにおいても静まって秋の空を見つめるときにはこのような天地に流れあうものを感じることができる。
(*)現代のプロテスタント俳人。自然を讃えることと、神を讃えることは同じだと言い、「神を信じる者は単なる花鳥を詠むことで終わってはならない。必ず、そこにキリスト教の信仰が歌われていなければならない。俳句を通して自分の信仰が歌われていなければならない。」と述べている。(「神を讃う」新教出版社刊五八頁)