ブライアントの詩から

自然を愛し、
その現れる姿とまじわる人に、
自然はさまざまの言葉を語る。
楽しきときには、
自然は喜びの声でにこやかに
美しい雄弁をふるう. そして暗い思いのときには、
しずかにその心の奥に入り、 おだやかな、そして心をいやす同情で、
いつの間にか
憂いの疼きを拭い去ってくれる。

はげしい苦しみや、息づまるような暗闇が、
あなたを恐れさせ、心の病になりそうなとき、
出よ、開かれた大空のもとへ。そして自然が語ることに耳を傾けるのだ。
そのとき周囲のすぺてから
大地からも水の流れや大気の深みからも、
しずかな声が聞えてくる。

To him who in the love of Nature holds
Communion with her visible forms, she speaks
A various language; for his gayer hours
She has a voice of gladness. and a smile
And eloquence of beauty; and she glides   
lnto his darker musings, with a mild
And healing sympathy,that steals away
Their sharpness, ere he is aware.
… …
Go forth, under the open sky,,and list
TO Nature's teachings, while from all aroundー
Earth and her waters, and thc depths of air
Comes a still voiceー
(「サナトプシス」より。ブライアント(1794〜1878)はアメリカの詩人。「ニューヨーク・イブニング・ポスト」紙の編集者、後に同紙の主筆。ジャーナリストとして、、言論の自由、労働者の権利、奴隷制度の廃止をとなえて精力的に活動した。
ロマン派の詩人ワーズワースのように自然をうたったことから、「アメリカのワーズワース」とよばれた。1870年と71年に出版した、ホメロスの「イーリアス」「オデュッセイア」の英訳詩は、現在でも英語による最高の詩といわれている。
(エンカルタ百科辞典より)