(214)我、ここに立つ。私はこうするより他ない。神よ、私を助けたまえ! Hier stehe Ich.Ich kann nicht anders. Got hilffe mir. (R・ベイントン著「我ここに立つ」聖文社 234頁 ) ・宗教改革者、ルターがドイツ国会で審問されたとき、自分の書いた書物を間違っていたと認めるかどうかを迫られた。ルターに対して激しい敵意を持った人たちもいる中で、ルターは、次のように語った。 「私は聖書と明白な理性によって確信するのでない限り、私は教皇と教会会議の権威を認めない。…私の良心は神のみ言葉にとらわれているのであるから。 私は何も取り消すことができないし、取り消そうとも思わない。なぜなら、良心に背くことは正しくないし、安全でもないからだ。」 その後で言われたと伝えられている言葉が、ここで引用した言葉である。 私たちは、「我、ここに立つ」と言えるほどの強い基盤をもっているだろうか。私たちは一体どこに立っている、といえるだろうか。 また、日本人の代表が集まった国の政治は、どこに立っているのか、あるいは、代議士たちもどこに立とうとしているのだろうか。 唯一の神を知らないときには、だれでも、自分の利益、自分の考え、特定の人間、あるいは金や地位の力、組織等々の上に立っている。しかしそれらがいかにもろく弱いものであるか、それは生きていく過程のなかで、思い知らされることである。 旧約聖書の詩編において、しばしば「神はわが岩、わがとりで」という言葉が表れる。それは不動の土台を知っていて、私はここに立つ、ということが確言できるひとの言葉である。 |