戻るボタン次へ進むボタン コバギボウシ   秋田駒ヶ岳      2016.7.22 
コバギボウシ   秋田駒ヶ岳      2016.7.22   東北、北海道には高山植物が、近畿以西の山々とは比較にならないほど豊かに存在する山域があります。秋田駒ヶ岳(標高1637m)もその一つです。 各地にある駒ヶ岳という名前の山々でも、最も高山植物が多い山と言われています。 

 この花は、多くの人が登る登山ルートとは別の、少数の人たちしか歩かないルートで見いだした花です。ギボウシシは、園芸用として花壇にもよく見られる花ですが、各地の山野でも見られ、これはその一つです。葉の大きいオオバギボウシに比して、小さい葉なので、コバ(小葉)ギボウシといいます。 

 この花の高さは30 50cm、葉の長さは1020cm、幅は48cmほど。花期は79月で、ろうと斗型の濃い紫色から淡紫色の花をやや下向きにつけます。 

 標高1500mほどの、人のわずかしか通らない登山道にあって、緑の高原にこの紫色の花が静かにたたずんでいる様は、印象に残るものでした。

 誰一人見るものがなくとも、はるかな昔からこの付近で咲いていたであろうこの花、神は、人間とちがって他者から評価されることを目的としてきれいに着飾ることなく、ただ天に向って咲いています。

 沈黙でありつつ雄弁、この花が高原の草地のところどころに咲いている姿を見ていると、その声なき語りかけを聞く思いです。

 つぼみも開いた花もその姿や色調が、接する者に何か天の国からの雰囲気を感じさせてくれます  (文、写真ともT.YOSHIMURA

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