戻るボタン次へ進むボタン

リンドウ 秋吉台高原にて 2019.11.11
  リンドウ    秋吉台高原にて  2019.11.11

毎年11月に、松山を経て九州から中国地方の一部の集会にて御言葉を語らせていただく機会が与えられていて、その途中で秋吉台高原に立ち寄ることができた。 


秋吉台といえば、秋芳洞が有名で、秋吉台高原の植物のことはあまり語られないようだ。私にとっては、このリンドウの野生の姿がことに心に残り、いつも心惹かれるところである。 


花の色合い、そしてその姿、周囲の高原の様子とあいまって、得難い光景となっていた。野生のリンドウは時折、山道の日当たりのよいところで見いだすがなかなか見られない。 


リンドウは、50数年前の学生時代に、京都の鞍馬山からはじめて、一週間近くもかけて、京都北山から丹波山地をの山々を越え、京都大学農学部の演習林を経て日本海側の福井県小浜市を目指したときに出会ったものが思いだされる。その演習林とされた広大な地域は山深く、当時は大台ヶ原(三重県と奈良県の県境にある)の一部とともに、関西では稀な原生林が残されている地域だとされていた。 


そこに行くことはどの方面から行っても相当の山道を歩かねばならず、アクセスは相当に困難であった。

いリュックを背負い、テントでの野宿、山小屋も、店もまったくない奥深い山々の谷を歩き、峠を越え、ときに雨や濃霧で指導標なき道に迷い、五万分の一の地図と磁石を常時手にしつつ、、長くて、遠い山旅をし、ようやく由良川源流に降り立ったときに咲いていたリンドウが、私の野生リンドウとの最初の出会いだった。 

そのときに見た青い色とそのすぐそばの由良川の流れ、紅葉などが今にいたってもわすれることのできないものとなって心に刻まれている。 

それ以来、野生のリンドウは常に私の心惹かれる花となった。その青い色は、大空や海といった広大なものにも神が用いた色であり、天の清い雰囲気をたたえている。 神はそうした自然の野草の花々によっても、人間に天の国を語りかけておられる。                  (写真、文ともにT.YOSHIMURA

戻るボタン次へ進むボタン