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ウツボグサ シソ科 日峰山(徳島県小松島市) 2012.6.10撮影

 ウツボグサ    シソ科   日峰山(徳島県小松島市) 2012.6.10撮影

野生の花としては、大きく、美しいこの花は、6月になると紫色の花がその特徴ある花穂(かすい)に次々と咲いてきます。この色合いや形の美のゆえに、かつて写真雑誌の表紙に大きく取り上げられていたことがあります。唇形の花びらの下部をよくみると、こまかな鋸歯がついているのがわかります。創造主はこのような小さな部分にもその英知をもってなされているのを感じます。
これは、日当たりのよい山野に自生し、高さは2030cm。野生のものは、あまり見られないものです。このような美しい花は、見つけると抜き取られてしまうことが多いからでもあり、また繁殖は土などの条件が合わないと難しいようです。私が出会ったもののうちでは、徳島県の1500mほどの高丸山の山頂付近に自生していたものや、山形県の月山(がっさん)にて、タテヤマウツボグサという高山性のもの、あるいは、四国最大の河川である吉野川の河口から30Kほど上流のあるところだけに群生しているものとかが印象的に残っています。その他、各地の山を歩いていると、花の時期を過ぎて褐色になった花穂に出会うことは折々にあります。

ウツボ(靫)とは、円筒状の矢の入れ物のことで、この花の花穂がそれに似ているからです。

しかし、この花の花穂からは、矢の入れ物とは全くちがって、唇形の花が下 から次々と現れる花の入れ物のようです。このウツボグサは、日本以外にも北半球の温帯に広く分布するとのこと、この花穂は花が終わると、次第に褐色となり、夏枯草(カコソウ)とも言われます。これは、生薬として用いられ、利尿剤として知られ、腎臓炎、膀胱炎などにも用いられ、ヨーロッパにおいても民間薬として、結核や胃腸の病に用いたと記されています。
このように体にとっての薬となる野草ですが、さらに、見て美しく、それゆえに心の薬ともなります。 その他の植物も、ただ群生しているだけでその緑色の広がりは心をいやす
ものです。
都会ではこうしたよき植物に直接に接することが難しいですが、万能の神は、求めるものには、心の畑によき花を咲かせることができます。「荒野に水が流れ、砂漠に花が咲く…」(イザヤ書35章)と、聖書の預言者が記していますが、私たちの一人一人の心の荒れ地に神がこのようなよき花を咲かせてくださいますようにと願います。
(写真、文ともT.YOSHIMURA

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