2008年1月

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277)美は私たちの周囲の至るところにある。それなのに、多くの人はそれに盲目である。地上の驚異を目の前にしながら、なんと多くの者は見ようとしないのか !
人々は熱病にかかったように動き回っているが、どこに向かって進んでいるのかを考えない。
絶望に打ちひしがれた魂のように、刺激のために刺激を求める。
世の中にある自然で穏やかで素朴なものに喜びを感じない。(「パブロ・カザルス 喜びと悲しみ」朝日新聞社刊 268頁)

・私たちの周囲にある樹木や野草たち、それらの一つ一つを静かに観察するときには、その精密な造り、一つ一つの独自の形や色合いなどに驚かされる。それは万能と完全な英知である神の御手がそこにあるからである。
・カザルスは、一八七六年スペインのカタロニア地方生れの音楽家。二〇世紀最大のチェリストと言われている。彼はとくに福音書にあるキリスト降誕の記述には深い意味を示されていた。そのため、後になって平和のための活動を音楽によってしようと決意したときに、つねに携えていたのが、「馬ぶね」(*)というオラトリオであった。かれは、キリストの降誕の聖書の記述には、命と人間への畏敬があり、美と愛に満ちているといい、命の最も崇高な表現だとしている。それはマリアと幼児イエスは新たな命の創造を象徴しているし、羊飼いは一般の労働者を意味し、平和の君(王)が王宮でなく、馬小屋で誕生したことには、深い意味があると彼は語っている。
*)馬ぶねとは、馬槽とも書く。飼い葉桶ともいう。これは家畜の飼料入れのこと。イエスが生れたときには家畜の飼料入れの中で生れたと聖書に記されている。


278)何がわたしの働きを始めさせたのでしょうか。
なにが私に霊感を与え、この長い年月を続けさせたのでしょうか。
それはイエスです。
私たちは、それをイエスのためにします。私はイエスをその言葉のとおりに受け入れます。
イエスは決して私を失望させることはないのです。
      (マザー・テレサ)
What made me start my work,what inspired me and kept me going during so many years ? Jesus.
I take Jesus at His word and He never let me down.
MOTHER TERESATHE JOY IN LOVING 309頁 九月九日の項)
279) あらゆる人が真理に従って永遠の命に至るように呼ばれている。しかし、真理をより深く知ることはすべての人にできるわけではない。
そのために何が必要か。そのためには誠実に祈り求めることであり、聖書にいう「開かれた眼と耳」である。さらに、それ以上のことになると、神を愛すること以外に、ほんらい何物も必要ではない。
そうすれば、すべてそれ以上のことは、実際おのずからその結果としてやってくる。
なぜなら、この愛の霊は、ふだん見えない一切のものを、人間に教えるからである。
(ヒルティ著「幸福論」第三部204 206より)
・これは、「聖なる霊があなた方にすべてのことを教える」(ヨハネ十六・13など)という主イエスの言葉をヒルティが説明的に言い換えたものである。私たちが神への愛を深めるとき、聖なる霊が与えられ、私たちの生きるべき道も、気付かなかった罪も、またその赦しを与えてくださる主の愛の深さも、日常の生活のなかで出会うささやかなものに込められた神の愛、さらにこの世の政治や社会問題の根源にある解決への道、未来になにが与えられるのか...等々、私たちの直面するあらゆる問題の本質が見えてくるといわれている。