オトギリソウ 島県海部郡にて 2003.8.26
夏から秋にかけて、花の少ないときにおいて、この野草の花はとくに心に残るものの一つです。
緑一色になった野山、その小さな山道に静かに語りかけるように咲いているのを見つけるときに、私たちもまたこの花に語りかけたくなります。
これは、県南での聖書集会の帰り道、山間の国道から少し入った細い山道沿いにわずかに一つ二つと咲いていたものです。
なお、この花の仲間である、タカネオトギリ(高嶺弟切)は、徳島県では、剣山(1955m)の頂上近いあたりによく見かけるものです。
この可憐な花を持つ植物は、昔から薬草として知られ、切り傷や虫刺され、止血、はれものや打撲に効能があるとされています。
この植物の葉の揉汁は、小鳥のいろいろの病気に効くことで知られています。
この植物の名前(弟切草)の由来は、平安時代に鷹匠(たかじょう)の兄が、けがをした鷹の薬として愛用していて、だれにも教えず秘密にしていたのに、その弟がもらしたために,兄が弟を切ってしまったという伝説に由来しています 。
このような伝説が生れるほどに、効能があったのだと思われます。
しかし、現代ではさまざまの優れた傷薬があり、この野草をそうした目的に使うことはほとんどないとおもわれますが、野山でふと出会ったこの野草の素朴な美しさは、心の傷をいやしてくれるものと言えそうです。