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オトコエシ
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オトコエシ 海部郡海南町
 この花は、秋の山にて、
 その白い花のゆえによく目にとまる花です。
これと似たものは、黄色の花を咲かせるオミナエシですが、これは昔から歌にも詠まれて有名なものです。
しかしオミナエシは、最近とみに少なくなって私たちの地方では、野生のものはほとんど目にとまることがありません。
 もう20年ほども前になるでしょうか、剣山(1955m)への途中、山の斜面にて咲いていたオミナエシがいまも浮かんできます。
黄色の小さい花が、風に揺られて咲いている姿は、心のなかに、山の澄んだ空気と秋を運んでくれるものでした。
 ここであげたオトコエシは、低山でもよく見かけることができます。やはり白い花を持っているヒヨドリバナや、野菊のなかまである、
 ノコンギク(野紺菊)、ヤマシロギクなどとともに秋らしい雰囲気をたたえて咲いています。

 野生の花は小さいものが多く、離れてみるとその美しさは分からないけれども、近寄って見るとき、さらに、ルーペなどでみると、見落としていたその自然な美しさに驚かされることが多いのです。
このオトコエシも、離れて見るよりも、この写真のように近づいて見るとき、その純白の美しさに心惹かれるものがあります。

 人が見るかどうかには関わりなく、このように美しく咲いている姿は、人間がともすれば他者に見せるためにきれいにしようとする傾向と対照的で、そのゆえに自然は、私たちの心の安らぎの場となってくれるのです。