リンドウ 山口県秋吉台 2013.11.11 |
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リンドウは、秋の野山の代表的な野草の一つです。これは、山口県の鍾乳洞で有名な秋吉台での撮影で、九州から島根の集会へと移動の途中で、見いだしたものです。リンドウは、私にとって特別な思い出があります。
それは、大学2年の頃に、テントや燃料、雨具、食糧などの十分な装備をして、京都市北部の鞍馬山から歩きはじめ、ときには、地図上でも廃道とされている道なき道を5万分の1地図と磁石を頼りに、山なみを越えて、1週間近くかけて日本海側の小浜へと行ったことがありました。その時、由良川源流地帯で、このリンドウの深い青紫色に出会ったのでした。
長い単独の山行のゆえに緊張と疲れのたまった心身であったゆえに、そして一日歩いても誰一人と会わないような山奥であったので、私の心に生きた映像をそのまま焼き付けてくれるものとなりました。
青い色は、広大な大空や大海原など最も広く目にはいるものの色で、創造主はこの色に接することによって、いつもご自身の深い本性を見つめるようになされたのではないかと思われます。
天を映す青、それゆえにそのたたずまいとともにリンドウは多くの人の心に残ってきたと言えます。 私が最初にリンドウという花の名を知ったのは小学校のときによくラジオから流れていた島倉千代子の「りんどう峠」(1950年)という歌で、「りんりん りんどうはこむらさき…」という歌詞のはじめは今も耳に残っています。 宮沢賢治もリンドウの花が心に深く残っていたのは次の文からもうかがえます。 「あゝ、りんどうの花が咲いてゐる。もうすっかり秋だねえ。」 線路のへりになったみじかい芝草の中に、月長石ででも刻まれたやうな、すばらしい紫のりんどうの花が咲いてゐました。…次のりんどうの花が、いっぱいに光って過ぎて行きました。 と思ったら、もう次から次から、たくさんのきいろな底をもったりんどうの花のコップが、湧くやうに、雨のやうに、眼の前を通り、三角標の列は、けむるやうに燃えるやうに、いよいよ光って立ったのです。…(「銀河鉄道の夜」より)
カムパネルラが、窓の外を指さして云ひました。 |
水野源三の詩にも、次のように記されています。 来る年も来る年も 澄み渡る空には りんどうの花が咲くように 神様の真実は変わらない 神様の真実は変わらない 天を映す青、それゆえにそのたたずまいとともにリンドウは多くの人の心に残ってきたと言えます。 |
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