コマクサ
(駒草) 秋田駒ヶ岳 2012.7.20
コマクサは、高山に咲く花ではとりわけ有名なものです。私は、50年近く前に大雪山で、その後10年ほどのちに、北アルプスの後立山連峰を縦走していたとき、見たものですが、それ以来、長く見ることがなかったものです。この写真は、岩手から、山形県北部に向う途中で登った秋田駒ヶ岳でのものです。この花は、こうした火山性の砂礫地に育っていて、ほかの植物は生育できない困難な環境です。
しかも、この花は、カムチャッカから、北海道の大雪山や、知床、あるいは東北の岩手山、蔵王、中部山岳地帯の白馬岳等々、高山の厳しい寒さにさらされる地域に分布していて、その生育は強い風、氷雪、水や栄養分のごく少ない地で育つという特異なものです。そしてこのような大きさの株になるには、10年、20年という歳月がかかるといいます。厳しい風雪と寒さに耐えた驚くべき結晶がこの花なのです。
神は、本来なら、生きてはいけないような厳しさにもそれに耐えて生育していく力を与え、 それをとおして人間にも、神の御手のなすわざのはかりしれない多様性とそこに秘められた力、そして美しさを伝えているのです。 (文・写真ともT.YOSHIMURA)
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