日本では、アイリスという英語風の発音で読んでいますが、ドイツ語ではイーリス、フランス語でもイリスです。 アイリスという花は、青い花のものは家にあったので、私は子供のときから知っていました。それは、ダッチアイリスというもので、オランダアヤメのことです。最近は、ジャーマンアイリス(ドイツアヤメ)というやや大きくて色彩に変化のあるものがよく見られます。
そのような、外国からきたアヤメでなく、このシャガは、日本の本州から九州に至る地方に広く見られる野生のアヤメです。外側の花びらは白色ですが、そこに青紫色の模様がついて、さらにその内側にはうすい朱色の模様があり、外側の花びらには、細い鋸歯がたくさんついているのがこの写真でもよく見えます。
このように、ほとんど誰も目にすることのないような、山間の谷間に、美しい模様や色彩をつくって咲いているのです。 山の樹林帯の下でこの花の群落を見出すとき、惜しげもなく美しい花をたくさん咲かせているさまは、神の花園のような感じを受けます。(写真、文ともに T.YOSHIMURA)
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