シュンラン (春蘭) 徳島県小松島市 日峰山 2009.3.27
春に咲く蘭の仲間で、昔から親しまれているのがこのシュンランです。ラン科の花は、現在では、野生のものはなかなか身近にはありませんが、万葉集にもよまれている野草のネジバナは、今日でも折々に草むら、芝生のようなところに自生して、それが多くのひとにとっておそらく最も身近なラン科の花だと言えます。
私が小さいころ、シュンランはわが家のある山にはあちこちにたくさん見られたのですが、次第になくなってしまい、現在ではめったに見つからないものです。
それが、今年わが家の近くの山の斜面に今までは咲いたことがなかったのに、このような花を咲かせているのが見つかったのです。花茎の高さは10〜20p程度で、淡黄緑色の花をひとつつけています。黄緑色の花というのは一般的には少なく、葉の色と似ているので、地味な自然の味わいがあり、花の咲き方や暗緑色の細い葉など全体として見るものに語りかけ、心を安らかにするような親しみを感じさせる山の花です。
この花の素朴なおもむきも、神の創造によるのであり、神のお心の一端を映していると感じます。 なお、この花びらや、花の茎も食べられるものですし、鉢植えなどにして昔から愛好されてきました。
こうした素朴なよさを持つ野草の花が今後も生き延びて、見るものの心に静かなるメッセージを送り続けますようにと願っています。 (写真、文ともにT.YOSHIM
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