このキヌガサソウは、山形県の月山(標高1984m)の頂上に近いところに咲いていたものです。(右の赤い花は ベニバナイチゴです。)登山道から少し離れた付近の植物を調べていて、草木の陰で咲いていたのを見つけた
のです。おそらくほとんどの人に気付かれずに咲いてきたと思われます。高さは、50p内外、葉は大きく放射状 に茎から10枚前後がひろがり、その中央に白い花が咲いています。その花びらの数も10枚前後です。
この花は、日本特産で、世界に誇れる貴重な植物だとされますが、ほかに類のないような花です。よく特異な動物に関しては、そのような形態が生き残るのに都合がよかったのだ、などと説明されることがありますが、植物に関しては多くの場合、そのような説明はあてはまらないのです。この花にしても、この衣笠のような形が生き残るのに都合がよかったなどということはなく、この花の形はまさに神がその御計画のもとで創造されたとしか言いようがないのです。
人間が存在するはるか昔から、咲き続けていただろうと思われますが、こうした高山の野草の花々は、神の美術館に収められた神の作品ともいうべきもので、私たちも人間の力をはるかに超えた神の力の繊細、美しさ、無限の多様性に驚かされるのです。
(写真、文: T.YOSHIMURA )
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