この白い花、語りかけるようにして咲いています。葉が丸くイチョウのようだというところからこの名前があります。この花を撮影したのは、秋田県と岩手県にまたがる乳頭山(標高1478m)への登山道の湿原です。
この山は、奥深い山で、一般の登山者もごく少なく、秋田駒ヶ岳の登山道入口からさらに奥へとだいぶ車で走ったところから登りますが、その登山口の標識さえもなかったので、あちこち歩いて探しても見つからず、付近の温泉旅館にたずねて初めてわかったものでした。それだけに、数時間その登山道、縦走路を歩いたにもかかわらず、まったく人に出会わなかった静かな山で、神の創造された自然の清い姿にずっと接して心まで清められる思いでした。
この花は、中部の山岳地域から東北、北海道にかけての高山に見られるものなので、北海道の南西部にある瀬棚地方にての聖書の学びの集りに呼ばれるまでは、見ることのなかったものです。瀬棚からの帰途、時間の許す範囲で、途中の山々に登り、こうした高山にのみ咲く花々とも接する機会が与えられたのです。
―私を洗ってください、雪よりも白く―というみ言葉、高山に咲く白い花々は、そうした神の国の清い世界への招きをつよく感じさせてくれる植物です。 (文、写真ともT.YOSHIMURA)
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