これは、草のように見えますが、バラ科の小低木で、本州中部以北や北海道の高山では親しまれていますが、さらに北方のサハリン,千島,カムチャツカ,アリューシャンなどにも生育しているということです。
この花が咲いたあとはカザグルマのような形となり、稚児車(ちごぐるま)と言われ、それが チングルマとなったといわれています。
春になってようやく草木の芽も見られ、花々も咲き始めることになれている私たちからみると、寒さの厳しいところでは、美しい花々は見られないと思われがちですが、高山や北方の寒冷地でも多くの花々が短い夏のあいだに一斉に美しい花を咲かせるし、長い寒い氷雪に覆われるときでも生き延びていく強靱な力を与えられているのを感じます。
この写真は大雪山系の縦走路に見られた広大な群落で、 はるかな太古の昔から、大雪山という火山の長い歴史の中から、徐々にこうした植物が生育し、現代に至っているのを思います。
人間、その社会の実態とはおよそ異なる清められた世界を神は私たちにこうした自然の姿をもってさし示しておられます。
(文、写真ともT.YOSHIMURA)
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