申命記講話

21章-24章
「奴隷であったことを思い起こす」
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新共同 申  21:1-23

21:1 あなたの神、主があなたに与えて、得させられる土地で、殺されて野に倒れている人が発見され、その犯人がだれか分からないならば、

21:2 長老および裁判人たちが現場に赴き、その死体から周囲の町々への距離を測らねばならない。

21:3 死体に最も近い町の長老たちは、労役に使われたことのない雌牛、すなわち軛を負わされたことのない若い雌牛を選び、

21:4 長老たちは、その雌牛を水の尽きることのない川の、耕したことも種を蒔いたこともない岸辺に連れて行き、その川で雌牛の首を折らねばならない。

21:5 それから、レビの子孫である祭司たちが進み出る。あなたの神、主が御自分に仕えさせ、また主の御名によって祝福を与えるために、お選びになったのは彼らであり、争いごとや傷害事件は、すべて彼らの指示に従わねばならないのである。

21:6 死体に最も近い町の長老たちは皆、川で首を折られた雌牛の上で手を洗い、

21:7 証言して言わねばならない。「我々の手はこの流血事件とかかわりがなく、目は何も見ていません。

21:8 主よ、あなたが救い出されたあなたの民、イスラエルの罪を贖い、あなたの民、イスラエルのうちに罪なき者の血を流した罪をとどめないでください。」こうして、彼らの血を流した罪は贖われる。

21:9 あなたは主が正しいと見なされることを行うなら、罪なき者の血を流した罪を取り除くことができる。

◆捕虜の女性との結婚

21:10 あなたが敵に向かって出陣し、あなたの神、主が敵をあなたの手に渡され、捕虜を捕らえたとき、

21:11 その中に美しい女性がいて、心引かれ、妻にしようとするならば、

21:12 自分の家に連れて行きなさい。彼女は髪を下ろし、つめを切り、

21:13 捕虜の衣服を脱いで、あなたの家に住み、自分の両親のために、一か月の間嘆かねばならない。その後、あなたは彼女のところに入ってその夫となり、彼女はあなたの妻となる。

21:14 もし彼女があなたの気に入らなくなった場合、彼女の意のままに去らせねばならない。決して金で売ってはならない。既に彼女を辱めたのであるから、奴隷のように扱ってはならない。

◆長子権について

21:15 ある人に二人の妻があり、一方は愛され、他方は疎んじられた。愛された妻も疎んじられた妻も彼の子を産み、疎んじられた妻の子が長子であるならば、

21:16 その人が息子たちに財産を継がせるとき、その長子である疎んじられた妻の子を差し置いて、愛している妻の子を長子として扱うことはできない。

21:17 疎んじられた妻の子を長子として認め、自分の全財産の中から二倍の分け前を与えねばならない。この子が父の力の初穂であり、長子権はこの子のものだからである。

◆反抗する息子

21:18 ある人にわがままで、反抗する息子があり、父の言うことも母の言うことも聞かず、戒めても聞き従わないならば、

21:19 両親は彼を取り押さえ、その地域の城門にいる町の長老のもとに突き出して、

21:20 町の長老に、「わたしたちのこの息子はわがままで、反抗し、わたしたちの言うことを聞きません。放蕩にふけり、大酒飲みです」と言いなさい。

21:21 町の住民は皆で石を投げつけて彼を殺す。あなたはこうして、あなたの中から悪を取り除かねばならない。全イスラエルはこのことを聞いて、恐れを抱くであろう。

◆木にかけられた死体

21:22 ある人が死刑に当たる罪を犯して処刑され、あなたがその人を木にかけるならば、

21:23 死体を木にかけたまま夜を過ごすことなく、必ずその日のうちに埋めねばならない。木にかけられた死体は、神に呪われたものだからである。あなたは、あなたの神、主が嗣業として与えられる土地を汚してはならない。

 

新共同 申  22:1-30

22:1 同胞の牛または羊が迷っているのを見て、見ない振りをしてはならない。必ず同胞のもとに連れ返さねばならない。

22:2 もしも同胞が近くの人でなく、だれであるかも分からない場合は、それを家に連れ帰り、同胞が捜しに来るまで手もとに置き、捜しに来たとき、その人に返しなさい。

22:3 ろばであれ、外套であれ、その他すべて同胞がなくしたものを、あなたが見つけたときは、同じようにしなさい。見ない振りをすることは許されない。

22:4 同胞のろばまたは牛が道に倒れているのを見て、見ない振りをしてはならない。その人に力を貸して、必ず助け起こさねばならない。

◆ふさわしくない服装

22:5 女は男の着物を身に着けてはならない。男は女の着物を着てはならない。このようなことをする者をすべて、あなたの神、主はいとわれる。

◆母鳥と雛鳥

22:6 道端の木の上または地面に鳥の巣を見つけ、その中に雛か卵があって、母鳥がその雛か卵を抱いているときは、母鳥をその母鳥の産んだものと共に取ってはならない。

22:7 必ず母鳥を追い払い、母鳥が産んだものだけを取らねばならない。そうすれば、あなたは幸いを得、長く生きることができる。

◆屋根の欄干

22:8 家を新築するならば、屋根に欄干を付けねばならない。そうすれば、人が屋根から落ちても、あなたの家が血を流した罪に問われることはない。

◆混ぜ合わせてはならないもの

22:9 ぶどう畑にそれと別の種を蒔いてはならない。あなたの蒔く種の実りも、ぶどう畑本来の収穫も共に汚れたものとならないためである。

22:10 牛とろばとを組にして耕してはならない。

22:11 毛糸と亜麻糸とを織り合わせた着物を着てはならない。

◆衣服の房

22:12 身にまとう衣服の四隅には房を付けねばならない。

◆処女の証拠

22:13 人が妻をめとり、彼女のところに入った後にこれを嫌い、

22:14 虚偽の非難をして、彼女の悪口を流し、「わたしはこの女をめとって近づいたが、処女の証拠がなかった」と言うならば、

22:15 その娘の両親は娘の処女の証拠を携えて、町の門にいる長老たちに差し出し、

22:16 娘の父は長老たちに、「わたしは娘をこの男と結婚させましたが、彼は娘を嫌い、

22:17 娘に処女の証拠がなかったと言って、虚偽の非難をしました。しかし、これが娘の処女の証拠です」と証言し、布を町の長老たちの前に広げねばならない。

22:18 町の長老たちは男を捕まえて鞭で打ち、

22:19 イスラエルのおとめについて悪口を流したのであるから、彼に銀百シェケルの罰金を科し、それを娘の父親に渡さねばならない。彼女は彼の妻としてとどまり、彼は生涯、彼女を離縁することはできない。

22:20 しかし、もしその娘に処女の証拠がなかったという非難が確かであるならば、

22:21 娘を父親の家の戸口に引き出し、町の人たちは彼女を石で打ち殺さねばならない。彼女は父の家で姦淫を行って、イスラエルの中で愚かなことをしたからである。あなたはあなたの中から悪を取り除かねばならない。

◆姦淫について

22:22 男が人妻と寝ているところを見つけられたならば、女と寝た男もその女も共に殺して、イスラエルの中から悪を取り除かねばならない。

22:23 ある男と婚約している処女の娘がいて、別の男が町で彼女と出会い、床を共にしたならば、

22:24 その二人を町の門に引き出し、石で打ち殺さねばならない。その娘は町の中で助けを求めず、男は隣人の妻を辱めたからである。あなたはこうして、あなたの中から悪を取り除かねばならない。

22:25 もしある男が別の男と婚約している娘と野で出会い、これを力ずくで犯し共に寝た場合は、共に寝た男だけを殺さねばならない。

22:26 その娘には何もしてはならない。娘には死刑に当たる罪はない。これは、ある人がその隣人を襲い、殺害した場合と同じような事件である。

22:27 男が野で彼女に出会い、婚約している娘は助けを求めたが、助ける者がいなかったからである。

22:28 ある男がまだ婚約していない処女の娘に出会い、これを捕らえ、共に寝たところを見つけられたならば、

22:29 共に寝た男はその娘の父親に銀五十シェケルを支払って、彼女を妻としなければならない。彼女を辱めたのであるから、生涯彼女を離縁することはできない。

 

新共同 申  23:1-26

23:1 だれも父の妻をめとって、父の衣の裾をあらわにしてはならない。

◆会衆に加わる資格

23:2 睾丸のつぶれた者、陰茎を切断されている者は主の会衆に加わることはできない。

23:3 混血の人は主の会衆に加わることはできない。十代目になっても主の会衆に加わることはできない。

23:4 アンモン人とモアブ人は主の会衆に加わることはできない。十代目になっても、決して主の会衆に加わることはできない。

23:5 それは、かつてあなたたちがエジプトから出て来たとき、彼らがパンと水を用意して旅路で歓迎せず、アラム・ナハライムのペトルからベオルの子バラムを雇って、あなたを呪わせようとしたからである。

23:6 あなたの神、主はバラムに耳を傾けず、あなたの神、主はあなたのために呪いを祝福に代えられた。あなたの神、主があなたを愛されたからにほかならない。

23:7 あなたは生涯いつまでも彼らの繁栄や幸福を求めてはならない。

23:8 エドム人をいとってはならない。彼らはあなたの兄弟である。エジプト人をいとってはならない。あなたはその国に寄留していたからである。

23:9 彼らに生まれる三代目の子孫は主の会衆に加わることができる。

◆陣営を清く保つこと

23:10 あなたが敵に向かって陣を張るならば、注意して、すべての汚れから身を守らねばならない。

23:11 夜、夢精によって汚れた者は、陣営の外に出て行き、中に入らず、

23:12 夕方になって水で体を洗い、日没に陣営に戻ることができる。

23:13 陣営の外に一つの場所を設け、用を足すときは、そこに行きなさい。

23:14 武器のほかに杭を用意し、外でかがむときには、それで穴を掘り、再びそれで排泄物を覆いなさい。

23:15 あなたの神、主はあなたを救い、敵をあなたに渡すために、陣営の中を歩まれる。陣営は聖なるものである。主があなたの中に何か恥ずべきものを御覧になって、あなたから離れ去ることのないようにしなさい。

◆逃亡奴隷の保護

23:16 主人のもとを逃れてあなたのもとに来た奴隷を、その主人に引き渡してはならない。

23:17 あなたの間に、すなわちあなたのどこかの町の彼が選ぶ場所に、望むがままにあなたと共に住まわせなさい。彼を虐げてはならない。

◆神殿で禁じられていること

23:18 イスラエルの女子は一人も神殿娼婦になってはならない。また、イスラエルの男子は一人も神殿男娼になってはならない。

23:19 いかなる誓願のためであっても、遊女のもうけや犬の稼ぎをあなたの神、主の宮に携えてはならない。いずれもあなたの神、主のいとわれるものだからである。

◆利子

23:20 同胞には利子を付けて貸してはならない。銀の利子も、食物の利子も、その他利子が付くいかなるものの利子も付けてはならない。

23:21 外国人には利子を付けて貸してもよいが、同胞には利子を付けて貸してはならない。それは、あなたが入って得る土地で、あなたの神、主があなたの手の働きすべてに祝福を与えられるためである。

◆誓願

23:22 あなたの神、主に誓願を立てる場合は、遅らせることなく、それを果たしなさい。あなたの神、主は必ずそれをあなたに求め、あなたの罪とされるからである。

23:23 誓願を中止した場合は、罪を負わない。

23:24 唇に出したことはそれを守り、口で約束した誓願は、あなたの神、主に誓願したとおりに実行しなさい。

◆人の畑のもの

23:25 隣人のぶどう畑に入るときは、思う存分満足するまでぶどうを食べてもよいが、籠に入れてはならない。

23:26 隣人の麦畑に入るときは、手で穂を摘んでもよいが、その麦畑で鎌を使ってはならない。

 

新共同 申  24:1-22

24:1 人が妻をめとり、その夫となってから、妻に何か恥ずべきことを見いだし、気に入らなくなったときは、離縁状を書いて彼女の手に渡し、家を去らせる。

24:2 その女が家を出て行き、別の人の妻となり、

24:3 次の夫も彼女を嫌って離縁状を書き、それを手に渡して家を去らせるか、あるいは彼女をめとって妻とした次の夫が死んだならば、

24:4 彼女は汚されているのだから、彼女を去らせた最初の夫は、彼女を再び妻にすることはできない。これは主の御前にいとうべきことである。あなたの神、主が嗣業として与えられる土地を罪で汚してはならない。

◆人道上の規定

24:5 人が新妻をめとったならば、兵役に服さず、いかなる公務も課せられず、一年間は自分の家のためにすべてを免除される。彼は、めとった妻を喜ばせねばならない。

24:6 挽き臼あるいはその上石を質に取ってはならない。命そのものを質に取ることになるからである。

24:7 同胞であるイスラエルの人々の一人を誘拐して、これを奴隷のように扱うか、人に売るのを見つけたならば、誘拐したその者を殺し、あなたの中から悪を取り除かねばならない。

24:8 重い皮膚病については、細心の注意を払い、すべてレビ人である祭司が指示するとおりに行いなさい。わたしが彼らに命じたとおり忠実に守りなさい。

24:9 エジプトから出た後の旅路で、あなたの神、主がミリアムになさったことを思い起こしなさい。

24:10 あなたが隣人に何らかの貸し付けをするときは、担保を取るために、その家に入ってはならない。

24:11 外にいて、あなたが貸す相手の人があなたのところに担保を持って出て来るのを待ちなさい。

24:12 もし、その人が貧しい場合には、その担保を取ったまま床に就いてはならない。

24:13 日没には必ず担保を返しなさい。そうすれば、その人は自分の上着を掛けて寝ることができ、あなたを祝福するであろう。あなたはあなたの神、主の御前に報いを受けるであろう。

24:14 同胞であれ、あなたの国であなたの町に寄留している者であれ、貧しく乏しい雇い人を搾取してはならない。

24:15 賃金はその日のうちに、日没前に支払わねばならない。彼は貧しく、その賃金を当てにしているからである。彼があなたを主に訴えて、罪を負うことがないようにしなさい。

24:16 父は子のゆえに死に定められず、子は父のゆえに死に定められない。人は、それぞれ自分の罪のゆえに死に定められる。

24:17 寄留者や孤児の権利をゆがめてはならない。寡婦の着物を質に取ってはならない。

24:18 あなたはエジプトで奴隷であったが、あなたの神、主が救い出してくださったことを思い起こしなさい。わたしはそれゆえ、あなたにこのことを行うように命じるのである。

24:19 畑で穀物を刈り入れるとき、一束畑に忘れても、取りに戻ってはならない。それは寄留者、孤児、寡婦のものとしなさい。こうしてあなたの手の業すべてについて、あなたの神、主はあなたを祝福される。

24:20 オリーブの実を打ち落とすときは、後で枝をくまなく捜してはならない。それは寄留者、孤児、寡婦のものとしなさい。

24:21 ぶどうの取り入れをするときは、後で摘み尽くしてはならない。それは寄留者、孤児、寡婦のものとしなさい。

24:22 あなたは、エジプトの国で奴隷であったことを思い起こしなさい。わたしはそれゆえ、あなたにこのことを行うように命じるのである。