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打ち壊そうとするもの 1999/11

 この世には、よきことを妨げようとする力が働いている。私たちがなにか善いことを継続して実行しようとしたり、真理に向かって歩もうとすると、それを妨げようとするあるものが動き出す。

 それは、自分自身が病気や事故になったり、あるいは何らかのほかのものに心が奪われてしまったり、また計画を壊そうとする人間が現れたり、家庭の難しい問題であったり、あるいは、他者との人間関係が壊れたり、また思いがけない社会情勢が生じたり、周囲の社会や国家が圧迫を加えてきたり・・である。

最も真実な愛に生き、真理を宣べ伝えたキリストがわずか三年の働きしかできずに、最も重い犯罪人として処刑されたことはその著しい例であった。

 使徒パウロはかつて自分がキリストの福音を伝えたエペソ地方の長老たちに別れの言葉を述べたことがあった。

わたしが去った後に、残忍な狼どもがあなたがたのところへ入り込んで来て群れを荒らすことが、わたしには分かっている。

また、あなたがた自身の中からも、邪説を唱えて弟子たちを従わせようとする者が現れる。

だから、わたしが三年間、あなたがた一人一人に夜も昼も涙を流して教えてきたことを思い起こして、目を覚ましていなさい。

そして今、神とその恵みの言葉とにあなたがたをゆだねる。この言葉は、あなたがたを造り上げ、聖徒(キリスト者のこと)とされたすべての人々と共に恵みを受け継がせることができるのである。(使徒行伝二十・29〜32)

 キリスト教信仰をもって生き始めた人々を、迫害あるいは、異端といった悪の力が襲ってくるということを、パウロは神から示されていたのである。

 しかし、そのような打ち壊そうとする力に打ち勝つ道もまたはっきりと示されているのであって、それは神とキリストを信じて神の言をかたく持ち続けることであった。

 長い歴史においても、このようなことはずっと生じてきた。

 しかし、いかに悪の力が忍び寄ってきて打ち壊そうとしても、決して打ち壊されないものが残ってきた。

 それは、そのようなあらゆる悪の力に主イエス・キリストはすでに勝利されているからである。

「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている。」(ヨハネ福音書十六・33)と言われた通りである。
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