はこ舟 2003年4月号
内容・もくじ
もう一つの戦い。
最も大切なもの
価格と価値
鹿のように谷川の水を求めて
聖書の詩から(詩篇第一編より)
休憩室
人の考えと真理
ことば
返舟だより
もう一つの戦い 2003/4
イラクでの戦争は終わりに近づいているという。しかしその後にどのような地域的な紛争や、混乱が生じるかはだれも予見できない。人間は本質的に自分中心であり、自分の民族や自国に益となること、自分の支配権、自分の権力などを欲し、奪おうとするからである。
日本は国内では表面的には内戦もなく、平和である。しかしそれで問題は解決はしない。小さな人間の集団において、議論や権力である種の戦いに勝ったようでも、精神的な意味において、また霊的には敗北ということはいくらでもある。
最近の日本人の心がだんだんよくなっていると感じる人はどれほどいるだろうか。ごく少ないのではないだろうか。自殺も年間に三万人もあることもそれを暗示しているし、若い世代の人たちの行動を見ても、人間の心に巣くう闇を感じさせられることが多く、それは内的な戦いに破れていく姿を現していると言えよう。
キリストはいとも簡単に、当時の権力者たちによって捕らえられ、処刑されてしまった。そこにはなんら勝利のようなものはなく、全面的に敗北と思われたであろう。
しかし、キリストは実は、決定的な勝利を得ておられたのである。だからこそ、それ以後、キリストを迫害したローマ帝国の体制が崩壊し、キリスト教を受け入れることにもなったのであるし、キリストの真理を否定しようとする力に対して、徐々に勝利を世界的におさめてきたと言える。
私たちの心の中には、つねに悪が戦いをしかけている。その戦いに負けるか、それとも勝利していくか、それは外側の世界がどのようになろうとも、つねに続く戦いである。そしてその内面での戦いに勝利するものこそ、本当の勝利者と言える。
そしてそうした勝利を得る者となるには、権力も金も学識や健康ですら必要でない。ただ、主イエスを信じるだけでよい。それはキリストがすでにそうした内面の戦いの勝利者だからである。
神から生まれた人は皆、世に打ち勝つからである。世に打ち勝つ勝利、それはわたしたちの信仰である。(ヨハネの第一の手紙五・4)