教会という訳語について 2005/7
前の文で用いた「エクレシア」とは、聖書では「教会」と訳されているが、原語は、エクレシアで、ek(~から)と kaleo(呼ぶ)から成っている。それゆえ、エクレシアとは「呼び出された者の集り」というのが元の意味。そのため、この語は、一般的な人々の集会や、議会のように正式な招集を受けた集りを意味する。
新約聖書においても、このような一般的な意味で使われている箇所もあるが(使徒言行録十九・32など)、そこから、とくに、「神から呼び出された者の集り、キリストの集会」という意味で用いられるようになった。
なお、日本語では「教会」と表されているが、これは中国語の表現を、そのまま取り入れたものである。使徒行伝、基督、耶蘇、路加なども同様に中国語の表現である。基督とはキリストのことで、中国語では、チートゥーと読む。「耶蘇」はイエスのことで、イェースーと読み、「路加」はルカのことで、ルーチアと読む。
中国語では「会」という語は、「集会」「会議」を意味するから、「キリスト教の集会」という意味で、「教会」と訳されたと考えられる。
しかし、現代では、一般の人にとって教会というと、「このあたりに教会はない」といったように使われるから建物を連想することが多く、教会という原語の本来の意味は、「キリストを信じる者の集り、集会」であることが知られていない。無教会では、「○○教会」という用語を使わず、「○○集会」と言うのは、こうした原語の意味を汲んでいるからである。