つばさの蔭に 2005/10
数々の問題や悩み、不安を抱える私たちを、なにが包んで下さるのか、生活に疲れた魂はそれを尋ね求める。
そのような人間の弱さに対して、古くから聖書は、神が鳥が翼の下に雛鳥を呼び寄せるような愛を表して下さることを知っていた。
神は羽をもってあなたを覆い
翼の下にかばってくださる。(詩編九十一・4)
慈しみの御業を示してください。
あなたを避けどころとする人を
立ち向かう者から
右の御手をもって救ってください。
瞳のようにわたしを守り
あなたの翼の陰に隠してください。(詩編十七・7〜8)
神の愛は、いわば巨大な鳥の翼のようなもので、全世界のあらゆる苦しむ人、力なき人をその蔭に招き寄せて、その傷をいやし、新たな力を与えて下さる。
現実のこの世は、どこにも蔭のない、危険や困難に覆われているかのように見える。あるいは、自然の偶然的な出来事によって弄ばれているだけで、人間を守るものなどどこにもないように見える。
しかし、そうした表面的な状況の背後に、この詩の作者は、この世界を包む、神の大いなる翼、目には見えないけれども、たしかな守りがあることを知っていたのである。