巻頭聖句
願いと祈りと感謝をすべての人々のために捧げなさい。…神は全ての人々が救われて真理を知るようになることを望んでおられる。(テモテ二章より)
消えることなき道
前の内閣には、重要な立場にいた人が二人、途中でその道を歩き続けることができなくなった人が生じた。一人は自殺し、一人は突然国家の代表をする首相という職を投げ出した。
首相の突然の辞任は、誰一人予想もしていなかったことであり、人間のもろさ、弱さを露呈したことであった。
国会において、所信表明演説を行った直後に辞任するということは、いかなる人も考えたことがなかっただろう。
しかし、これは前首相個人の問題であるとともに、人間そのものがいかに弱いものであるかをあらためて示すものとなった。しかもそのような人を多数の日本人が支持したことから、日本人の精神構造のもろさをも象徴的に示すことになった。
どんなに経験があり、また金や権力があってもなお、人間にはそうしたものとは全く別のものがなければ進んで行けない。
彼らにおいては、自分がそれまで歩いてきた道が突然陥没し、歩けなくなったのである。
しかし、彼らだけを非難することができるだろうか。多数の日本人にとって、自分が歩いていく道は、そのうち陥没してしまうのである。死というすべてを壊すものが前途にあるからである。
どんなことがあっても、決して壊れて不通になることなく、どこまでも続いていく道、しかも病気や孤独の苦しみの道でその道の終点となるのでなく、輝かしい永遠の国へと続いていく道、そのような道こそ、私たちが本当に望むものである。
そしてその深い願いに応えて下さるのが、「私は道である」といわれた主イエスである。もう歩けなくなった、と思われるときでも、私たちを支え、また道がなくなったと思われるところには新たな橋をかけて下さるお方なのである。