リストボタン真理の力    2008/11

自分だけが持っていたい、というものがある。それは本人にとって大切なものである。例えば、有名人の持っていた小物とか、著名な画家、例えばレンブラントが描いた高価な絵とか、愛する友からもらったほかには入手できない記念の品、二度と手に入らない貴重な本等々、それらをだれかに与えてしまったらもうないのだから、自分だけで持っていたいと思うだろう。
しかし、同じように大切なものでありながら、絶えずだれかに手渡したい、という思いを抱かせるものもある。
それが「真理」である。真理は最も大切なものであり、それはその持ち主の人間そのものをうるおし、命を与える。
その人にとってなくてはならないものであるのに、それを何とかして分かちたいと願うように仕向けるものである。
また真理は人間を引き寄せる力をも持っている。ペテロというごく普通の漁師であった人間が、キリストの真理を受けたとき、「人間をとる漁師になる」と主イエスから約束された。その意味は、人間を引き寄せるふしぎな力を与えられるということであり、それはペテロという人間がそんな力を持つのでなく、彼に与えられた真理そのものが人間を引き寄せる力を持っているからなのである。
真理は、水面に落とされたものを起点としてそこから波紋が広がっていくように、真理を中心として必ず波紋が広がっていく。それをおさえることはできない。この二千年の歴史はその波紋の広がりそのものであったし、現在もそれは続いている。
私の魂にも数十年前に、その波紋は伝わってきたし、それを受け止めたときから私の日々は変えられたのであった。
また、真理そのものの引き寄せる力は、すでに旧約聖書から記されている。

終わりの日には、
主の神殿の山は山々の頭として堅く立ち
国々はみな川のようにそこに向かう。(イザヤ書二章より)

私たちは真理そのものがこのようにおのずから伝わっていく力を内臓しており、また終わりのときにすべてを引き寄せるのだと信じて、その大いなる伝達の力の一部となって歩ませていただきたいと願っている。


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