リストボタン旧約聖書の続編から

新共同訳には、旧約聖書続編が付いているのもある。新約聖書の著者たちが用いた旧約聖書はヘブル語の旧約聖書でなく、ギリシャ語に訳された聖書(七〇人訳)であり、それには続編が含まれていた。
多くのキリスト者が、続編を全く知らないか、読んだことがない。それは、続編の価値を知らないままで過ぎていくことになり、大きな損失だと思われる。
続編だから読まないという人であっても、テレビ、新聞やいろいろな本には多大の時間を毎日費やしている人は多いはずである。
それならば、そうした現代の情報に時間をかけるそのわずかの部分でも、続編に注ぐことで真理がより大きくふくらんでくると言えよう。
ここではその続編の一部を私の簡単なコメントを付けて紹介したい。

@…神に従う人に、全宇宙が味方するからだ。(知恵の書十六の十七)

神に従う者は神が守られる。そして全宇宙とは神の創造物であり、神のご意志になるものゆえ、そのような人を全宇宙が味方する、といわれている。神がしばしば聖書において「恐れるな!」と呼びかけているのもこのためである。

A感謝を知らない者の希望は、冬の霜のように解け、
無用な水のように流れさってしまう。(知恵の書十六の二十九)

・パウロは常に感謝せよ、喜べ、祈れと言った。神と結びついているほどこのことが可能となる。それゆえ感謝を知らないとは神と結びついていない言葉であり、それゆえに、そのような者の希望はいとも簡単に消え去っていく。
感謝する心が生きてはたらいているほど、私たちの希望は揺るがない。

B人を養うのはもろもろの収穫物ではなく、
信じる人を守るあなたの言葉であることを。(知恵の書十六の二六)

・み言葉の力が明確に言われている。さまざまの作物や肉、ミルクなどはからだを養うことはできる。しかし、真に私たちの本質である魂を養うことはできず、それができるのは神の言葉である。主イエスも、「私は天から降ってきた生きたパンである。このパンを食べるならば、その人は永遠に生きる。」と言われた。

C全能のゆえに、あなたはすべての人を憐れみ、
回心させようとして、人々の罪を見過ごされる。
あなたは、存在するものすべてを愛し、
お造りになったものを何一つ嫌われない。
命を愛される主よ、
すべてはあなたのもの、
あなたはすべてをいとおしまれる。(知恵の書十一の二三〜二六より)

・神は愛であるゆえに、すべての人の魂を方向転換させて神に向かわせようとされる。それゆえに、罪を赦されるという。
また、神が万物を創造されたゆえに、神は万物を愛される。
主イエスも、神は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせる、と言われた。このことから、主イエスは敵をも愛せよ、迫害するもののために祈れと言われた。
D神は人の思いを知り、
心を正しく見抜き、
人の言葉をすべて聞いておられる。
主の霊は全地に満ち、
あらゆる言葉を知っておられる。(知恵の書一の六〜七より)

・私たちは人には、自分の思いや考えを隠すことができる。しかし、神は私たちのあらゆる考えや思い、内なる言葉、祈りなどすべてを知っておられる。それゆえ、私たちは真実な祈りの言葉は決して無駄になることはないと分るのである。
主の霊が全地に満ちているからこそ、ルカ福音書に記されてているように、私たちは求めるならその主の霊を与えられるのである。

E主よ、あなたはすべてにおいて民を
大いなる者とし、栄光を与えられた。
あなたは、彼らを見捨てず、いつでもどこでも
彼らの傍(かたわ)らに立っておられた。(同十九の二二)

・これが知恵の書と題される続編の最後の締めくくりの言葉である。それはこの言葉の重要性が読む人に受けいれられるためであっただろう。
これは私たちにとっても喜ばしい真理である。
いつでも、どこでも、主が私たちのそばに立っていて下さる、それさえあればほかのものは不要となるであろう。

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