あなた方の上に 聖霊が降ると、あなた方は力を受ける。
(使徒言行録1の8)
復活の神
4月は、最も周囲の植物たちが、めざましい変化を見せるときである。枯れ木のようであった落葉樹がいっせいに芽吹き、初々しい葉へと変化し、さまざまの野草が花を開く。
それは単なる自然現象でなく、死からよみがえらせる神を信じる者にとっては、それらの自然は、復活への合唱をしているようなものである。
すべての生けるものが死に向っていると考えられる反面―実際に私たちの親しかった人たちが次々と高齢や病気のためにいなくなっていく―神はこのように、私たちの身近に、新たな命が生まれることを見えるかたちをもって示している。
二千年前のハスの種が芽を出して、それが現在では、日本の各地で花を咲かせるようになった。(大賀ハス)(*)
これはどんなに絶望的な状態であっても、死んだようなものであっても、神の御手がはたらくときには、生き返ることを象徴的に示している。
(*)これは、大賀一郎博士によって、1951年千葉市の東京大学検見川厚生農場の落合遺跡で発掘された、今から二千年以上前の古代のハスの実から芽を出して花を咲かせた古代ハス。
なお、大賀一郎は、内村鑑三の影響による熱心なキリスト者であった。
ふつうの種や球根でも、死んだようになっているが適切な温度や水分を与えると、発芽して、生き生きとした生育をはじめる。
私たちの魂も、適切な水と温度―すなわち神のいのちの水と神の愛という暖かいものを受けると、死んだようなものが新たな力を与えられてよみがえる。
球根の中には 花が秘められ
さなぎの中から 命はばたく
寒い冬の中 春は目覚める。
その日、その時を ただ神が知る (讃美歌21の576)
春は、神からの復活のメッセージに満ちた季節。どんなに枯れ木のように死んだようになっていても、その時が来れば、神が目覚めさせて下さり、新たな命を注いで下さる。
それを信じるようにとの、神からの語りかけが、春の芽吹きや開花によって私たちにあふれるように注がれているのである。
このようなことも、信じて受け取るかどうかによる。たんなる自然現象だとしてみるだけでは、神からのメッセージは受け取れない。
私たちに向けられた神の愛を信じて、植物たちの変化にも復活を込めておられると幼な子のように信じて受け取るときに、たしかにさらなる復活の命が与えられる。
主イエスが、幼な子のような心で見ないと神の国は見えない、入ることができないと言われたことは、このような日常的に出会うことに関しても言える深い意味をたたえたものなのである。
…イエスは乳飲み子たちを呼び寄せて言われた。「子供たちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのような者たちのものである。(ルカ 18の16)