一九四〇年代の後半に、C・S・ルイスが、「ナルニア国物語」の第一巻の「ライオンと魔女」を書き始め、一九五〇年に刊行された。そして一九五六年に最後の「さいごの戦い」が刊行されている。
今回の映画化は、第一巻であり、それについては多くの人が知るようになったと思われる。
「ナルニア国物語」の第一巻の最初は、第二次世界大戦の空襲から逃れた子どもたちから始まる。今回公開された映画ではそれがとくに激しい空襲の場面からとなっていて、強い印象を与えるものになっている。それは「ナルニア国物語」というフアンタジーというイメージとは全く異なる現実の世界の暗く、厳しい状況である。
しかし、そうした現実のただなかに、「衣裳だんす」というごく身近な扉を開けばそこから全く別の世界が開かれている。中心的な役割を果たしている少女や子どもたちは、その衣裳だんすの扉を開いてそこから、思いがけない世界「ナルニア国」へと導かれていくのである。(以下、本文参照)
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